ちょいと思い出したので昔、見た夢の話を書く
中学生の頃によく川とか池で釣りをしてたんだけど水槽に入りそうな大きさの魚とかは持って帰ってたんだけどすぐ死なせてを繰り返してたんだよね。
亡骸は生ゴミの袋に入れると重いだの臭いだの母親が文句を言うので、近くの川に捨てるようにしてた。
そんなある夜、夢の中でいつも亡骸を捨てている場所に俺は立っていた。
川岸は護岸ブロックで固められていて2〜3mあったが川の水位はそれ程無く精々子供の膝上ほどの川の水の中にソレはいた。
河童だ。
枯れ木のように細い手足にとがったロに黄色いぎょろっとした目でこっちを見上げている。
怖かったけど俺は恐る恐るその河童に
「何をしてるん」
と聞くと河童は
「食い物が流れてくるのを待ってる。ここの川は汚い、人間が汚したからだ」
と答えた。
俺は、これに何も言い返せなかったというか声も出ず身動きも取れない金縛り状態になっていた。
すると河童はこちらをジッと見つめてこう言った
「お前の肉を食わせろ」
そんなの嫌だと思いながらも俺のロが開いて
「いいよ」
と答えていた。
そんな馬鹿なと思いながらも河童は護岸ブロックの継ぎ目に爪を引っ掛けながらよじ登ってくる。
恐怖の絶頂の中、尻餅を着くように倒れたら体が動くようになり急いで家に逃げ帰った俺は一階の仏壇がある和室に入り引き戸を思いっきり体重を掛けるようにして河童が来ないように祈っていたがベチャ…ベチャ…と濡れた雑巾を叩きつけるような音が玄関から廊下へと徐々に近づいてきた。
引き戸越しにもう側まで来たのが分かるともうダメかと思ったが河童は
「早く食わせろ」
と、引き戸越しに言ってきた。
俺は
「ごめんなさい。さっきのは無しで、無し無し無しで」と、何とか許してもらおうと必死に懇願するも河童は
「ふざけるな」
そう怒鳴りながら爪で引き戸を何度も引っ搔く音がした。
いつまでこの引き戸がもつか分からなかったが「ごめんなさい」と何度も叫ぶうちにふと線香の煙の匂いがすると周りがぼんやりしはじめ目が覚めた。
それ以降、釣りをする事も亡骸を川に捨てる事もしていないし河童の夢も見ていない。
だが最近、ふいにあの線香の煙のような匂いがたまにする様になった。
線香を焚いたり誰かがタバコを吸っているわけでもなくふいにだ。
そして、思い出した。
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