からかさ小僧っているじゃん?
この前の夕立のとき、俺アレの逆バージョン見たんだよね。
そう、アレとは上下逆になってんの。
持ち手が上で空に向ける方が下。
つまり雨降ってないとき普通に傘を持ってる状態ね。
ソレが通りの向こうから歩いてきたの。
いや、歩いてきたというかはねてきた。
カツーンカツーンって。
夕立の直後だからさ、俺は傘をさしてたわけだよ。
それで傘とじようかなってひょいっと傘をおろしたとき。
二百メートルぐらい先に棒みたいなのが通りの真ん中にあるのが見えたから、ん? って思って目を凝らしたら傘だったんだよね。
しかもこっちに近づいてくる。
は? ってなるじゃん。あれ傘だよな? って。
傘がなんで勝手にとびはねてんだよって。
でも何度見直しても閉じた傘が一本こっちに向かってはねてくる。
場所は閑静な住宅街で地面はアスファルトで舗装されてる。
周りに人はいないし蝉の声も聞こえない。
ただソレの先端が地面に当たる音が不自然に大きく響いてくるんだ。
カツーンカツーンって。
雨上がりかつ夏の午後だからさ、蒸し蒸ししてんのよ。
日も照ってて暑い。
それでもその異様な様子を見て、その音を聞いたとき、寒気がしたね。
腕を見たら鳥肌たってた。
俺は傘をさしなおして、立ち止まってうつむいたんだ。
なんとなくそうしなくちゃいけないような気がして。
そしたらカツーンって音がだんだん近づいてくる。
もういよいよ横を通るぞってときに目だけ動かしてソレを見たら、やっぱり傘。
顔とか手足とかはついてない。
地面をついて、ふわりと浮いて、また地面をついて進んでるんだ。
その音が後ろに消えるまでうつむいたままで、それから急いで自宅に帰ったね。
その晩ネットで調べてみたんだけど、からかさ小僧とか唐傘についてのサイトしか出てこなかった。
で、間違って「かさから」って打っちゃったんだよ。そしたら一番上に「かさから」ってサイトが出てきたんだよね。
クリックするとなんか文字が書かれた古臭い紙を撮った写真が出現。
数行しかないから読んでみると、
かさからにすれ違う時分傘を差して俯くこと
傘を持ち得ない、差せ得ない時分「かさから、かさから」と何遍も唱えかさからが通り過ぎる迄待つこと
この場合断じて言い間違いをしてはならなゐ
ってあったんだよ。
で、もし言い間違えたらどうなるのかって気になって、さっきそのサイトを探してももう出てこない。
コレについて何か知ってる人いる?
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