ワイの友達が経験した話なんやけど誰か聞いてくれへんか?
ちょいと長なるかもしれへんからそこは勘弁。
ワイの友達はフリーターやった。
地元県のコンビニを転々として働いとったらしい。
ある日、ネットのバイト掲示板を見てたらデパートの夜間警備のバイトがあったんや。
日給1万弱の。
友達は今のコンビニバイトより全然稼げるからすぐそこの面接に行った。
地元県からは結構遠かったみたいやが(場所は伏せる)、友達はそんなのお構いなしでウキウキで近所の爺さんからもらった2万で新幹線乗って行った。
そしてそのデパートに着いてまず思ったことは、想像の3倍デカかったらしい。
そして面接を受けて無事採用してもらって、2日後から働くことになった。
2日後、会社から貰った制服に着替えて夜の8時くらいに家を出た。
出勤時間が9時やったかそんなやったらしい。
出勤した時に自分の他に2人新人がおったらしい。
そして20年くらいずっと働いてるベテランおっさん(大塚芳忠みたいな声やから大塚)と40代前半のおっさん(アルマジロみたいなやつやからこれからはアルマジロ)がおって、その人らに自己紹介をした。
もちろん他の2人の新人も自己紹介した。
この新人達のこと覚えづらかったら犠牲者A、犠牲者Bでも全く問題ないぞ☆
早速、大塚の班とアルマジロの班に別れて巡回の仕方を教えて貰ったらしい。
班の構成としては
大塚、A、ワイの友達で
アルマジロ、B
やったとのこと。
デパートは6階建てで、上半分を大塚の班、下半分をアルマジロの班が担当することになった。
巡回してて特におかしいところはなかったが、5階にある南側のトイレからポチャポチャと水滴が滴るような音が聞こえた。
しかしどこからも水は漏れていない。
めんどくさいので大塚への報告はしなかった。
トイレの横にある南階段を使い6階に移動する。
また6階にある倉庫に夥しい量のマネキンが置いてありめちゃくちゃ怖かっただけだったという。
巡回が終わり、2階にある警備室に戻って1時間の休憩。
11時ごろに最終巡回をし、警報機の電源を切って終わりとのこと。
そのあとは自由時間だそう。
1時間後、最終巡回をした。
やっぱり5階の南側のトイレからポチャポチャと音がする。
そして6階の倉庫が怖い。
これだけだった。
そして警備室に戻り、友達はカップ麺を啜ってた。
警備室は2部屋にわかれていて、片方は新人達と友達が、もう片方は大塚とアルマジロがいた。
AとBはぐっすりと寝ていて、隣の部屋の大塚とアルマジロが何かを話している。
何話してんねんジジイ共と思いながらカップ麺を全部食って友達は寝た。
そして次の日。
朝に起こされ、アパートに帰る。
そして出勤時間までパチンコやら映画やらゲーセンやらで時間を潰したらしい。
そして出勤時間が近くなり、制服に着替えてデパートに行く。
そして昨日と同じ感じで巡回をした。
4階を何事もなく巡回して5階のフロアを巡回し、南側のトイレを確認しに行った時のこと。
やっぱり昨日と一緒でポチャポチャと水滴が滴る音が聞こえる。
友達は大塚に報告した。
「班長ここなんか水が滴る音しないっすか?」
「ん?確かにするな。一回確認してみようか」
確認してみるがやはりどこからも水は漏れてない。
壁の中のパイプかと思い、壁に耳をすませるが、パイプなんか通っておらず水が漏れることはない。
「なんともないな…。気のせいってことだ。ぶわっはっはっはっは」
そして6階に行って巡回し最後に倉庫の確認だったが、倉庫から嫌な雰囲気を感じた。
(なんだこの感じ…)
しかし何も起きず巡回は終わった。
警備室に戻り、1時間の休憩。
1時間後、最終確認に行く。
4階を何事も無く巡回し、5階のフロアを巡回したあと例のトイレに行った時。
ポチャポチャポチャと水滴が滴る音が聞こえた。
しかも先ほどよりも大きい音で間隔が狭くなっている。
先ほど聞いた時はポチャ…ポチャ…ポチャ…だったのに今はポチャポチャポチャと聞こえる。
「班長、やっぱおかしいっすよね」
「さっきより念入りに確認してみるか」
念入りに確認してもやはりどこからも水は漏れてない。
しかし、一番奥のトイレを確認した時だった。
「なんだここ、なんでこんなに濡れてんだよ⁉︎」
一番奥のトイレがずぶ濡れになっていた。
床のタイル、壁、便器、トイレットペーパーがずぶ濡れだった。
しかも奇妙なことに床のタイルは一番奥のトイレのタイルしか濡れていない。
他の個室には濡れた痕跡などがない。
「やっぱりどこも漏れてないな。なぜここはずぶ濡れなのか」
「侵入者がいるとか?」
「いや隠れるところがないから無理じゃね?」
「その通りだ。今の時間、店は全部シャッターが降りている。とりあえず6階を見て終わりにしよう」
この時友達はある2つの気づき、背筋が凍った。
まず鏡が合わせ鏡だったこと。
そして水が滴る音が人間の声だったこと。
そして6階に行き、最後に倉庫の警報機の電源を切って終わりになる時だった。
コロコロと何かが転がってくる音がした。
Aの足元らへんで転がる音がし、Aがライトで照らすとマネキンの首だった。
「うわああああああああああああああああ」
「どうした⁉︎」
「む、向こうからこれが転がってきて」
「警報機の電源は切ったか?」
「は、はい」
「急いで帰るぞ‼︎」
3人は急いで階段を降り、警備室に戻った。
そしてAと友達は布団を被って震えていた。
Bが「なんかあったの?」と聞いた。
「マジでここやばい。怖すぎる」とA。
「俺もう辞めたい」と友達。
そして起きた出来事をBに話すAと友達。
「マジかよ…嘘だろ…。合わせ鏡ってやべえじゃねーかよ」
「俺もやめようかな」
とBが言った瞬間、フロアの地図の3、5、6階の警報機のLEDが赤く光った。
「嘘だろ…」
LEDが赤く光る=警報機が作動しているとのこと。
「班長‼︎」
「わかっている。こりゃまずいな。何箇所光っている?」
「全部で4箇所です。3階の南側と5階の南側のトイレと6階の倉庫とエレベーター前です」
「確認に行くぞ」
全員で確認に行くつもりだったが、1人警備室に残らないといけないためAが残った。
まず最初に3階の南側の警報機を止めに行った。
「おかしいな。電源切ったからならないはずなんだけどな」
とアルマジロが言う。
次に5階の南側のトイレ。
怖かったので大塚に消してもらった。
ここも大塚と一緒に電源を切ったはずだ。
そして6階の倉庫とエレベーター前。
エレベーター前をアルマジロとBが消し、倉庫を大塚と友達が消しに行く。
倉庫に入って鳴り響く警報機の電源を切った時だった。
倉庫の扉が閉まった。
「ちょっ⁉︎班長⁉︎開けてください‼︎」
「勝手にしまったんだ‼︎俺じゃない‼︎今開ける‼︎クソ‼︎なんだこれ開かない‼︎」
その時友達は後ろから視線を感じ振り向いた。
マネキンがこちらを見ていた。
入った時は壁を見ていたはずのマネキンが首だけを180°回転して友達を見ていたと。
「うわあああああああああああ‼︎班長早く開けてくれ‼︎頼む‼︎」
「ドアを蹴破る‼︎離れてろ‼︎」
大塚がドアを蹴りまくる。
5発目でドアが開き、友達は急いで倉庫から出る。
泣きそうだった。
しかし、アルマジロが
「お、おい…なんでエレベーターがこっちに向かってきてるんだ…?電源ついてないはずだろ…」
エレベーターの方を見ると2、3、4とエレベーターが6階に段々と近づいてきてる。
「とりあえず警備室に逃げろ‼︎」
大塚が叫び南階段を急いで降りる。
5階からは北階段で降りるつもりだった。
そして5階に降りた時だった。
トイレからポチャポチャポチャという声と共に、ペタペタペタという音が聞こえてきた。
長髪の白いドレスを着たずぶ濡れの女がポチャポチャポチャと言いながら歩いていた。
「逃げろおおおおおおお」と大塚が叫ぶ。
友達は北階段を目指して走った。
振り向くと女は自分の方に向かって走ってきている。
「くそ‼︎なんで俺なんだよ‼︎」
友達は無我夢中で走り、4階、3階、2階と降り、警備室に飛び込もうとした。
しかし、警備室に鍵がかかっていた。
「なんでだよ‼︎くそ‼︎開けろ‼︎開けてくれ‼︎」
その時ペタペタと後ろを走っていた音が消えた。
友達は泣いていた。
恐る恐る振り返る。
しかし誰もいない。
少し安心して前を向く。
そこに女がいた。
はっきりと顔まで見えた。
左右逆に向いた目、異常なほどに青白い顔、そして「まだ、まだ、耐えれる…私まだ耐えれるよおおおおおおおおお」と叫び友達は気絶した。
起きたら朝だった。
そして警備室には、ここのオーナーのような人がいて、アルマジロと話していた。
班長に昨日のことを尋ねた。
しかし、「何を言ってるんだお前、昨日は巡回したあとちょっとしたパーティをしたじゃないか」と。
は?と友達はなった。
「いや昨日警報機が鳴って」
「鳴ってねえって、何勘違いしてんだ。大丈夫か?」
そしてオーナーのような人が出ていき、班長はこう言った。
「昨日のことは忘れて出ていけ。AとBのことも忘れろ。あいつらは最初からいなかった。いいな?」
友達は「はい」と返事をし、荷物をまとめて地元へ帰ってきた。
そして、今は地元でコンビニバイトをしているとのことです。
長々となって申し訳ない。
信じてもええし、信じやんくてもええ。
ワイは友達から聞いたことをそのまま書いただけやで。
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