15年以上前、中3の時にクラス行事で体験した事を思い出したから書いてく。
私が通っていた中国地方某県の中学では学年行事っていうのが年に2回ほどあった。
1回目は学校内(主にスポーツ系)、2回目は学校外(泊まりは3年生だけ。1.2年は日帰り)って事は元々決まってて、何をするかどこに行くかは生徒や先生の提案の中から多数決(最終的には先生同士の話し合いや調整もあるけど)で決まる感じだったと思う。
私達のクラスは、湖(ダム)のほとりにあるキャンプ場でキャンプする事に決まった。
その場所は、キャンプ場だけじゃなくて近くにアスレチックやフィッシングスポットや旅館やコテージとかもあったりして地元ではレジャー地としても人気なところ。
だけど、友達が『あそこ出るらしい』『自○した女の人の幽霊が出るって。赤いレインコートを着てるらしい』と言ってたのは気になった。
家に帰って、そのキャンプ場に決まった事を母親に伝えると、『あそこ出るって噂があるけんね〜。自○の名所って言われてるね〜』と言ってくる。
まぁ別に私を怖がらせようという意図はなく、当時私は怖い番組好きだったから言ってきたんだと思う。
私もそれを聞いて嬉々としていた記憶あるし。
数日後具体的なキャンプのスケジュールが先生からプリントで配られた。
学校行事のキャンプだと当然のように肝試しはスケジュールの中に組み込まれるよね?うちの学校も例外ではなかったわけ。
私は、肝試しがスケジュールに組み込んである学校行事のプリントを父親に見せた。
そしたら、さっきまでニコニコだった父親の顔色が急激に変わった。
「あの場所で肝試しをすーだか?」
「え?するけど」
と答えると、なら行くのをやめなさいと。
土日だし学校の出席日数に響くものではないから勿論欠席という選択も出来る。
でも、友達との貴重な非日常のイベントを意味の分からない理由で欠席したくなかった私は、当然反論した。
だけど父親は頑なに行くなと言う。
その日は父親を説得できずに次の日学校へ。
友達数名に父親の事を話して
「行けないかも知れん」
と言うと、そんなのおかしい!と怒ってくれて。
担任のひかる先生(仮名。
だいたひかるに似てたから。
ちなみに似ていると言ったら『先生はだいたひかるが大嫌いなんです!』と怒る)に、「(私)ちゃんが可哀想だけん肝試しをなくしたスケジュールのプリントを別で1枚だけ作って欲しいんです」とお願いしに行ってくれた。
続いて私も先生に事情を説明。
だけど先生は、
「(私)さんのお父さん何かキャンプで嫌な事でもあったのかなぁ」
「実は先生も怖いの苦手でねぇ」
とか、もはや共感にすらなっていない&今その情報いらん的な事ばかり言ってきて要領を得ない。
嘘のプリントを作る事を明らかに渋っていた。
でも私達は諦めずに『友達と想い出を作りたいんです!』とか交渉して、結局先生が折れた。
嘘のスケジュールのプリントをこっそりと渡してくれた。
(まぁ大人になった今なら教職の立場的にまずい事だったことは分かる。だから渋っていたってことも。ひかる先生あの時はごめんなさいありがとうございました)
翌日にそのプリントを見せても怪しまれると思って数日後に父親に見せた。
数日前に見せたのは先生達が決めた仮のもので、クラスでの話し合いと多数決で夜のイベントはキャンプファイヤーと手持ち花火になって肝試しは時間の都合でなくなっちゃったんだ…(あっけらかんと伝えるとあんなにムキになるほど行きたがってたのにと思われるかなと思ったので、少し悔しそうに)と伝えた。
すると父はほんの少し躊躇う感じは見せたものの、『気を付けて行ってきなさい』と。
次の日学校へ行ってみんなに伝えて一緒になって喜んだ。
まぁひかる先生は嘘プリントがバレやしないかハラハラしてただろうけど…。
で、キャンプ当日の夜。
肝試し。
当時のクラスの班員5〜6人1組でゴールまで歩いて行くという感じだった。
数班ずつ時間差でスタートして行く感じ。
別におどろかし役がいるわけでもなく、途中で立っている先生達も点呼や見張りの役割だった。
(ちなみに担任は怖がりだからか知らんけどゴールで待ってる役だった)
でもまぁふざけて物陰に隠れて驚かし合っている班もいたりした。
私達C班は、そんな彼ら(A班B班)を先の方に眺めながらお〜やってんな〜って比較的冷静に歩いていたんだけど、さっきまで騒いでた前の班が一瞬静かになって、立ち止まってざわざわとし始めた。
さっきと違ってふざけてるというよりは戸惑っている感じ。
そんな彼らに追いついた私達は、彼らにどうしたのか聞くと、口々に不思議な体験を話し出した。
「俺ら(A班)がB班を驚かすために物陰に隠れて見てた時、明らかにB班6人いたって。なのになんで今は5人しかおらんの?誰か1人置き去りになっとらん?」
「いやいや俺らの班は元々5人班だけん。6人班なのひと班しかないけど俺らの班じゃない。っていうかクラスメイトの顔くらい覚えとらんの?その6人目っていうのは誰だったんだよ」
「隠れながらだったけん、女って事しか」
「白い服を着た女だったことない?」
「A班の班員みんなB班の6人目を見たってこと?」
等々、だいたいこんな内容だった。
見たのが一人だけだったなら見間違いで片付くと思うけど、A班全員がその得体の知れない7人目を見ていたとなると気味が悪かった。
後ろを歩いていたD班E班ともいつの間にか合流していて、まとまってゴールまで歩いて行くことになった。
D班の様子も少しおかしかった。
異常に怖がってビクビクとあたりを警戒しながら歩いている。
D班の友達に何かあった?と聞いてみると、レインコートを着た大人の女性がたたずんでいたと。
噂では赤だけど、白だったから一瞬ひかる先生かと思ったらしい。
引率者の中で女性はひかる先生と保健室の先生だけだったから。
だけど、怖がりなひかる先生がそんな暗がりに一人で、しかも生徒に何か話しかけるでもなくじっと立っているはずもない。
そもそも、道中に見守りで立っている他の先生達とは違って、ひかる先生と保健の先生はゴールにいることを思い出して怖くなったと。
で、その話を聞いてたA班の面子は、
「俺ら(私達)が見たのも白い服着とった。でもレインコートではなかったと思う。つまり何人もいるって事だがん!!」
と余計怖がってた。
そこからは各々南無阿弥陀仏やらイワコデジマやらぬ〜べ〜の読経(アニメ版)やら唱え出した。
同じ班の班員がジャンプしながらお尻叩き出して変な呪文唱え出した時は、怖い話聞きすぎてとうとう頭おかしくなったのかと思った。
(当時私も2ちゃんねらーではあったけどオカ板の住人ではなかったから(アニメ板の住人だった)、びっくりするほどユートピアはこの時初めて知った)
みんなでその奇行を笑ったりして、怖い気持ちも吹っ飛んだからそういう意味では効果あったと思う。
もちろんゴールにはひかる先生と保健室の先生がいた。
当然ながらどちらとも白いレインコートなんて着ていなかった。
っていうかそもそも雨なんて降ってない。
みんなで
「いやー怖かったね」
と話していると、残りの数班も続々ゴールしてくる。
心なしか青い顔をしていた。
直感で、『なにか見たな』と思った。
その子らは、開口一番ひかる先生に、「ずっとゴールにおられたんですよね?途中で見張りで立ってたりしてませんよね?」と。
先生は自分を怖がらせようとする冗談だと受け取ったのか、
「そんなに先生俊足じゃないですよ〜」
と冗談っぽく返していた。
その子達も、その白いレインコートの女を見たと。
だけど、慌てて懐中電灯を向けたらすっとモヤみたいに消えていってしまったそう。
消えたんなら幽霊じゃん。
なんでひかる先生だと思った。
とか思いつつも、怖い気持ちを紛らわしたかったんだろうなと。
っていうかうちの班は、肝試しの時は私含めて誰一人として幽霊らしきものを見ていないのはなんなんだ。
ノー霊感のかき集め班か。
などとちょっと悔しく思いつつ。
私も見る時は見るんだけどな、って。
で、夜中にテントで寝てたんだけど尿意を催して外に出た。
そしたら幼なじみでクラスメイトのMちゃんが、地面が盛り上がって小さい山みたいになっている所(といっても数十センチくらい)に座って一人で星を眺めてた。
私がMちゃんに話しかけると、
「今生理中でイライラしてるから話しかけないで。一人にさせて」
と不機嫌に返されたので、知るかよと思いつつトイレへ。
トイレから帰ってみるとMちゃんの話し声が。
誰とも話したくないんじゃねーのかよと思いつつ近付いていくと、Mちゃんの声しか聞こえない事に気付いた。
私は恐る恐る様子をうかがうと、Mちゃんは一人で話している。
でも、でかい独り言というよりもそこに誰かいるかのような話し方だった。
私には見えない誰か。
私は恐怖も感じつつも、やっぱり私には見えねーのな!と思いつつ、Mちゃんに
「Mちゃんおやすみ」
と一言だけ早口で言ってそそくさとテントに戻った。
確かにこの時Mちゃんが私の声に反応してこっちに目線向けてた。
次の日Mちゃんにその事を聞いてみても、星を見ていて私から話しかけられた事は覚えてるけど(生理できつくあたった事は謝られた)、それ以降は覚えていなかった。
いつの間にかテントに戻っていたらしい。
独り言(?)をしていた事はおろか、私がおやすみと声をかけた事も覚えていないと。
Mちゃんは肝は太いほうだけど(じゃなきゃ出ると噂の場所で一人で星見れん)、さすがに怖がって
「やっぱりこのキャンプ場おかしい」
と言っていた。
その後はアスレチックでたっぷり遊んだりカレー作ったりして楽しんだ後、帰る時間になった。
18時頃でまだ日没ではないけど、あたりが木で囲まれた場所だともう十分薄暗かった。
だからバスへ乗り込む前のトイレは(照明が壊れてた)、みんなで協力しあって上から懐中電灯で照らしたりしてた。
でも、その場でトイレを照らしていたほとんどの懐中電灯が消えたり、パカパカと点滅し出した。
トイレで用を足している最中の女子達は、
「暗い!!なんで消したの!!怖い!!」
と騒ぎ出し、上から懐中電灯で照らしていた女子達は、
「わかんない!!いきなり懐中電灯の調子がおかしくなった!!」
「私のも!!」
「なんで!!」
と女子トイレは大パニック。
「このままだと持って帰っちゃう」
と泣き出す子もいる始末。
ひかる先生は、
「みんな肝試しとかで使ってたでしょ?同じくらいの使用量だったから、電池が少なくなるタイミングが被っただけだけん。怖がらなくても大丈夫」
とみんなを落ち着かせていた。
一理あったので、みんな少し落ち着いた。
そしてバスの中。
キャンプ場から少し離れると、懐中電灯が一斉に復活した。
ある一人が、
「治った!」
と言ったのをきっかけに、みんなが確認してた。
それでみんなホッと一息、出来るはずだったんだけど、前の方の席に座ってた子が一言。
「ひかる先生の車の後部座席に、誰か乗ってね?」
私達が乗るバスの前にはひかる先生の自家用車。
その子の言葉がきっかけで、みんな座席から頭を出したり立ち上がったり、前の方へ集まったりして先生の車のほうを見た。
(良い子はマネしちゃダメです)
確かに、先生の車に誰かが乗っていた。
白い服の女の人のように見えた。
頭を左右にゆらゆらと揺らしていた。
ついに私にも見えた。
バスの中で混乱が広がる中、
「保健の先生が一緒に乗ってるんじゃない?」
と冷静に言う子もいた。
だけどバス引率の学年主任は、
「魔女先生(仮名。単純に魔女みたいな雰囲気だから)なら後ろの車に乗ってるよ」
などと言う。
パニック収めるためにそういう事にしておけばいいものをwww
そして、ひかる先生の車に乗っていたものはフッと消えた。
ますます恐怖に包まれるバス内。
で、解散場所(中学校)に着く前に、ある一人のクラスメイトがみんなに、「この事ひかる先生には言っちゃダメだけんな。先生怖がりだから、夜トイレに行けなくなっちゃう」と。
私もそれを心のうちに秘めようと思いながらバスを降り。
でも、好奇心旺盛でお調子者のSちゃんは我慢できなかったんだと思う。
バスから降りたら即ひかる先生に、「ひかる先生、さっき車には一人で乗ってた?」と。
当然ながら顔色が青くなるひかる先生。
そしたらみんな、さっきまでひかる先生に黙っておこうと決意していたはずなのに、それを見るや否や口々にさっきの事を話し始めた。
それを聞いたひかる先生は、
「先生これから一人暮らしの家に帰らないといけないのに!!」
と言っていてちょっと可哀想だった。
ちなみに先生には霊障とかは特に何もなかったと思う。
それ以降も普通に元気に教職やってた。
体験談はこれで以上だけど、白いレインコートの女、幻の6人目の白い服の女、Mちゃんとお話していた何か、先生の車にいた白い服の女がなんだったのか同一人物だったのかは今でも分からない。
あと父親があそこまであの場所での肝試しに拒否反応を見せていたのかということも。
存命してるけど、今更聞くのもちょっと。
それからそのキャンプ場、当時友達や母親から『出る』『心霊スポット』『自○の名所』と聞いていたんだけど、今ネットで調べてもその場所が心霊スポットだとか自○者が多いとかそういう情報全くヒットしないんだよね。
『〇〇〇 心霊スポット』って調べても全然出てこなくて。
なのになんで赤いレインコートの女(実際は白?)がどうとかそんな噂があったのかもよく分からない。
蛇足。
ちなみにひかる先生=怖がりなのが周知の事実になってる理由、自分でそう言ってるというのもあるけど。
ひかる先生合唱部の顧問だったんだけど、合唱部が夜遅くまで練習していた日、先生にちょっとイタズラしようとしたらしくて。
物陰に隠れてバッと出て脅かしたら失神しちゃったらしく、それからひかる先生=怖がりだから気を付けようって広まったらしい。
さすがに可哀想すぎるな。
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