洒落怖というか故郷の民話だが俺の住む街の昔話
俺の住む街は平野部の盆地で今も昔もひたすら田畑ばかりが広がっている
だから夏から秋頃になると良く竜巻が発生したりするんだがそれにまつわる逸話がある
科学の発達した現代では竜巻の発生しやすい条件は解明されているが鎌倉時代くらいの人々は竜巻を龍の仕業と考えていたらしい
ある時稲刈りの時期に発生する竜巻に嫌気の差した村民達は土地の領主に竜巻を何とかして欲しいと皆で嘆願したそうだ
願いを聞き入れた領主は地元出身の僧と作戦を練った
竜巻のよく起こっていた辺りに僧の術を混ぜた龍の絵を描いた
龍をこの絵の前に追い込めば龍は絵の龍に吸い込まれ、そのまま封印されるという
かくしてその年の9月、竜巻を起こそうと現れた龍は村民達から攻撃を受け、封印の絵の前に追い立てられそのまま封印されたという
封印の場所には寺が建ち、現在も寺の天井には龍の絵が飾られているという
そのおかげか知らないが俺の故郷では竜巻が良く起こるが、それはだだっ広く広がる田んぼでなく大きいスーパーやゲーセンの駐車場、学校の校庭で発生することが多い
まあ単純に開けた場所で、土やアスファルトのような熱を貯めるものが平坦に広がってる場所で竜巻が起きやすいってだけなんだろうが寺が出来てその周辺に家が建ち並んだお陰か、昔竜巻が起きていた土地には竜巻が起こらなくなったという
術なんてものが実在するかは知らないが封印を計画し、寺を建てた領主と僧の思惑は正しく機能したらしい
鬼退治や龍退治なんてものは眉唾物が大半だと思っていたが案外災害を退ける昔の人達の知恵がそこにはあるのかもしれない
少なくとも村を荒らした龍は現代も正しく寺に封印されているようだ
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