昔埼玉に行った時、夜遅くまで飲んで電車で帰宅しようとしていた
その駅で急行の電車を待つため、ホームによくある急行用の列に並んで電車を待っていた
都心に近いからか、夜中でもそこそこ人が多く、普通列車を待つ列も急行を待つ列もどの車両用の列にも1から4人くらい並んでいたと思う
その内、ホームに普通列車がやって来て、人がゾロゾロと乗り込んで行った。
列車が走り出そうと扉を閉めた瞬間、私の後ろに並んでいたサラリーマン風の男がいきなり電車の窓に駆け寄って両手と顔を押し付けた。
車内に人は居たが窓の向こうの座席周辺には誰もいないように見えた。
間髪入れず電車が走り出した。男は列車と並走しながら、誰もいない窓に向かって叫んでいた。「○○!愛してる!○○!」
凄い必死な声色で誰もいない窓に向かって叫んでいる。
電車が加速し切るまで、男は全力で電車と並走していた。
そのままホームの端まで歩いて行き電車の背中を見送っていたようだった。
車内に恋人でも居たのか?あるいは酔っ払い特有の理解不能な行動か?何にしても分別のない人だなと思いながら凄い冷ややかな目でそいつを見ていた。
そうこうしている内に次の電車が来た。
私はその電車に乗り扉が閉まる。
私はホームと反対側の座席に座り、ホームの方を何気なく見た。
電車が出発する瞬間、男が窓に顔を押し付けて、私の方を見ながら叫んだ。「××(私の下の名前)!愛してる!××!」
ギョッとしながらその男を見る
当然私の名前はその男に名乗っていないし名札や名前が書いてある類のものも身に付けていない
一人で電車を待っていたので私の名前を呼ぶ人もいない
その男と面識もない
にもかかわらず必死な表情で私の名前を叫びながら電車と並走して私に目線を合わせて来ている
他の男の知り合いでも居るのかと周りを見渡して見たが誰も反応を返している様子もない
「××ー!!!」電車がホームを離れる寸前、車内のアナウンスよりも大きな叫び声でその男が私の名前を叫んでいた
凄い気恥ずかしい気持ちになりながら車内にいた周りの人の様子を再度横目に見たが特に誰も気にしている様子もない
○チガイみたいだし顔合わせんとこ…って気持ちで居たのかも知れないが誰もこちらに視線すら送らなかった
気恥ずかしさとどこか薄ら寒いものを感じながら帰宅した
その後、その駅を何度か利用したがそれ以降その男に会ったことはない
あの人は何だったのだろうか
次あの男に合った、何をされるか分からない
幽霊ではないかも知れないが当事者には恐ろしい話
新越谷?
ではないけれど特定が怖いので曖昧に言うと
池袋から30分圏内とだけ
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