俺が高校生の時の話。
俺の家族は富士山に行くのが好きだったんだ。
母が野生の鹿が好きで、夜中の富士山は鹿がよく出るから、次の日が休みの時とかは、夜中に車でドライブして見に行ってた。
それで、その日は多分、怖いもの見たさもあって、富士の樹海に行こうって話になったんだ。
心霊スポットとして有名だし、まあ真夜中に車で通るだけでも全然雰囲気あるからって事で。
しばらく母が鹿を探して、父が運転をして、俺も目を凝らしながら進んでいく。
弟は普通に寝てた。
それで、樹海に入る前か入ったあとかは俺ももうあやふやで覚えてなくて分かんないだけど、とにかく、ナビがおかしくなった。
行き先は決まってたし、設定もしてあった。
道を間違えたってわけでもない。
ナビ通りにずっと進んでいると人が住んでるかもよくわからない民家がぽつんと2件くらいあって、それ以外は何もない、樹海だった。
ナビは右へ左へと支持を出すが、運転している父が何かがおかしいことに気がついた。
その民家が見えるあたりを、ずっとぐるぐるとしてるんだ。
こういうのってよくあることなのか?
気付いてからしばらくして、きちんと別ルートから元の道に戻れた。
樹海に入ってからひらけたところに出た。
車が何台か止められるような広いところに。
そこには電話ボックスがぽつんと置いてあった。
父はそこに車を止めて、歩いてちょっと見てみようって事になったんだ。
母と父が車から出て、俺と弟は車の中で待機してた。
しばらくして、俺はとてつもない吐き気に襲われた。
弟も。
言っておくけど車酔いではない。
弟も俺も車酔いしたことがないし、止まってから少し時間が経っていたから。
俺はグロッキーになりながら母に連絡をした。
その間、森に入っては行かなかったものの、父はその電話ボックスから母の携帯に電話をかけたり、深い闇に包まれた樹海をスマホのライトで照らしたりしていた。
連絡してすぐに母も父も戻ってきて、突然グロッキーになった俺と弟を見て、もう行くかってことになった。
そこからはもう、樹海では何も起きなかった。
俺も弟も、樹海を抜けたら気持ち悪さが抜けてあっさり回復した。
でも、家に帰ってきてからは少し変だった。
外で何か見たと言って、冬の夜中にあまり冗談を言わない父がベランダ全開で
「なんだお前!」
と言っていたり、誰もいない家で勝手に音のなる人形が動いてたり(犬を飼ってるけど、犬が届かない位置に人形はあるし窓が閉まっているから風で動いてしまったということもない)、俺が寝る前に窓から動かない白い人影を見たりした。
そのたびに母は外に向かって塩を撒いたり、盛塩をしてくれたりした。
これって、樹海と何か関係があったのかなって、今も思い出すと怖いなって思った話。
煮え切らなくてすまん。
コメントを残す