<実話>
意識した事は無かった
実際 これまでの人生で「そういったもの」を見た事があるわけでもなかった
ただ、親族や懇意にしていただいた方が亡くなる前に 虫の知らせ的な事が起こるというのはあった
その夜、外の「複数人のおかしな声」で目が覚めた
部屋は戸建ての2階だが声の主達は外のやや高い位置の様だ
会話の様だが何語なのかさっぱりわからない
倍速で再生しているみたいに早口というか、混信したラジオの様というか
―ガヤガヤガヤガヤガヤ・・・・・・・―
気配の圧が凄い
本能が
「カーテンを開けてはいけない」
と言っている
背中の毛が逆立つ
やがて
―ざあああぁぁぁぁぁ・・・・・―
と気配が左から右に動き そのまま会話と共に遠ざかっていった
数年経ったある夜、今度は「おかしな音」で目が覚めた
―ぶぉん・・・ぶぉん・・・ぶぉん・・・ぶぉん・・・―
低く、脈動するような音
よくSFでUFOや宇宙船の効果音に使われる様な音がゆっくりと近付いてくる
やがて音が家の真上までやってきた頃、その音の中にかすかに「あの声」が混じっている事に気が付いた
―ガヤガヤガヤガヤガヤ・・・・・・・―
「見てはいけない!」
そう直感し、音が真上を通過して窓側の上空に抜けた瞬間、確かに「見た」
カーテン越しに黄色い大きな光がゆっくりと遠ざかっていった
―ぶぉん・・・ぶぉん・・・ぶぉん・・・・・・・・・・―
「あの日と今日、どうやら俺はUFOと宇宙人に遭遇したらしい」
そう思っていた
・・・・・あの日までは
<つづき>
続きを書く
今年の8月5日夜の事
夜中に外で騒ぐ声に叩き起こされた
若い家族連れ2組の様だ
大人は大人同士で、子供達は子供達で大声で会話しながら靴音を響かせ近付いてくる
枕元のスマホを手に取り時間を確認するときっかり2時だ
「輩かよ、躾がなってねぇなぁ・・・」
とウンザリする
その彼等が家の前に差し掛かった時、騒いでいた子供達の一人が
『この家、裏に新しい物置があるんだぜ!』
と叫んだ
―パタパタパタパタ・・・―
子供達の靴音がウチの駐車場を駆け抜けて裏手に回り込んでいく
躾が悪いにもほどがある、ガツンと言わねば!
そう思って飛び起きて、裏を見下ろせる窓をガラリと開け
「なにやってん・・・」
と怒鳴りかけて固まった
木々のざわめきすらない静寂の中、青白いモノトーンの大人・子供6~7人が私をじっと見上げていた
―からからから~・・・ぴしっ、がちゃ―
何も言わず窓を閉じた
明らかにこの世の方々ではなかった
なかったが不思議と恐怖心が湧かない
それどころか
「お盆近いからかな」
とか妙に冷静に納得してしまってすらいる自分に違和感を感じる
頭が「?」マークで一杯になりながら振り向いて、そこに居る筈のない人物を見て息をのんだ
点けっ放しにしていた豆球のほの暗いオレンジの下、4年前に死んだ父が浴衣を着て笑顔で座っていた
それから15~20分、こちらの言葉に表情の変化で返すのみの父と話をした
他愛のない内容だったと思う
こっちは元気でやってるよ的な
それから2人でごろ寝して、顔を見合わせて笑顔を交わしたところで父が消えた
スマホを確認すると2時38分
ほぼリアルな時間が過ぎていた
この出来事から数日経った8月10日、父は今度は同居の妹の枕元に現れ再び家族を驚かせた
<後日談とか>
13迎え火を焚きながら考えた
【ほんとのお盆について】
お盆に死んだ方々がこの世に帰ってくると言うが、その日は13日よりずっと早いのではないか?
実際には5日頃に帰ってきて、10日にはあの世に戻っていくのではないか?
じゃあ、今焚いてるコレは今更なんじゃね?
【件の家族連れの霊】
東日本大震災で被災した地域だが、ウチは内陸部なのでウチも含め近所で犠牲者は出なかった
しかし沿岸部に住んでいた親族・友知人が犠牲になったという方々は大勢いる
そういった犠牲者が友人を訪ねてきたのだろうか?
或いは、好かれる人柄だった父のあの世のお友達か?
【今後このような事がもっとはっきり見えるようになるのか?】
数年前の2件の「おかしな声」「おかしな音と光」が今回の「はっきり見えちゃった」事に繋がるのなら、俺の霊感が高まってきていると言う事なのではないか?
だとしたら、今後色んなものが見えてしまったりするのではなかろうか?
考えたがイマイチ納得のいく答えが出なかった
あの日以降、十数年崩していた体調が幾分良くなったと感じる
運気も上向いた気がする
職場では万年冷や飯食らいだったが、評価がやや変わった
これからどうなるのだろうか?
怖いような、それでいて少し楽しみだったりする今日この頃
<つづき>
疑問の答えはすぐに出た
体調が戻ってきたので顛末を書く
書き込んだ翌日の10月25日、一足早く父の墓参りをしようという事になった
高台の寺に着くと住職が長靴を洗っている
挨拶を交わして今時珍しいブリキのバケツに水を汲む
柄の木材が痩せてカシメが緩くなった柄杓をバケツに突っ込み、裏山を超えた先の墓に向かう
途中、六地蔵の前を通るが、この地蔵、六体とも首が無い
住職の話では
「過去に疫病が流行った際、身代わりに切り落とされたのでは」
との事だ
住職だろうか、まだ火を点けて間もない線香が煙をたなびかせている
細長い四角柱に先端が方錐型の軍人墓や、真上に伸びた蔓からぶら下がった烏瓜、鳥居がある神職一族の墓を眺めながら父の墓に向かう
桜御影の墓石に張られた蜘蛛の巣を払い、水を掛け、供物を捧げて線香をあげる
やれやれ、今月は家族揃って墓参りに来られた、と安堵して来た道を引き返す
その道すがら、件の出来事の話になった
「オヤジ1人ならいいがなー、お仲間数人ととか勘弁してほしいわーw」
そう口にして笑った途端、どっと疲れが押し寄せた
―しまった、何かお土産を貰ったぞ―
そう直感したが口には出さず、いきなり重くなった体を極力普通に動かして帰宅して早々に自室に籠った
もちろん部屋ではぐったりですよ
その夜、予想通り丑三つ時にそれは起こった
<つづき>
こういう時は事前にぱっちり目が覚めるものである
嫌な予感に襲われ恐る恐るスマホで時間を確認する
きっかり2:00
既に諦めモードで
「今度は何が起こるんですか」
と布団の中で身構える
ふいに外のアスファルトに足音が響き渡る
・・・おかしい
いきなり近くから、しかも足音だけから始まった
履物はツッカケ(サンダル)の様だ
少し引き摺り気味に
ざさっ ぺた!ざさっ ぺた!
と近付いてくる
20歩ほどだろうか、家の前まで歩いてきた足音がぱたっと止み、
「ぱんっ!」
という音が響いた
何だ?今の音は?何をした??
そう思った次の瞬間土砂降りになった
そして気が付いた
―体が・・・動かない・・・―
雨は降り注ぎ、雨樋から溢れた雨水が直接びちゃびちゃと地面を叩く音がする
どこか普通の雨じゃない、局所的な気がする
そう、「この窓の周りだけで降っている様な」プレッシャーの塊みたいな雨音にこれはヤバイ!と思った時、
―ジャアアアアアアアァァァァァッッ!!―
通りの向こうから竹箒を引きずる様な音が急速に近付いてきて、そのまま雨音を「掃き出して」いった
ふっと自由になった体を捻って起き上がろうとした所で掃き出された雨音が戻ってきた
再び体が硬直する
―ざああぁっ!ざあああっっ!!―
先程より荒ぶっている様な音だ
プレッシャーも強い
そこに再び竹箒がやってきて再び雨音を掃き出していった
掃き出されていく雨音と共に確かに
「ぎゃあああぁぁぁぁぁ・・・・!!!」
という悲鳴を聞いた
暫く呆然としていた
窓の外が少し白んできた頃、新聞配達のカブがやってきた
向かいの家に新聞を投函して去っていくカブ、その走行音は明らかに地面が濡れていない事を語っていた
それ以降何も起こらないものの体調は今朝まで絶不調だった
回復してきて確信した
自分の霊感は高まってきている
マズイ時にマズイ場所に行くと色々持ち帰るらしい
今後は考えて行動しないと
コメントを残す