岩手生まれ岩手育ちの30代で現在奥州市に住んでるんですが、20年前程前、大日通りと言う所にいる時に色んなモノを見ました。
その家は貸家で今思えば貧乏人ばかりが集まる集落みたいな場所でした。
二階建ての木造で寝る時は二階。
引っ越したばかりの日から良く分からないモノを見聞きしました。
夜中、家族全員が二階に居るはずなのに必ず夜11時を回ると必ず誰かが階段を上ってくる。
当時はまだ幼稚園生だったけど足音の重みで家族の誰かは直ぐ分かる筈なのに「ソレ」は家族の誰でも無い。
明らかに「大きい」。
足音も木造の階段をミシッミシッと踏み締める音じゃなくて、ドッスドッスと確実に、しっかりと威嚇する様に近付いてくる。
夜中にそんな階段の登り方すれば寝てる家族は絶対起きる音だし、親は
「何やってんだ!」
と怒る音だった。
正直毎晩怖かった。
今思うと益々怖い。
と、言うのも自分は福島のFラン大学行く様な馬鹿で幼い頃からお世辞にも要領は良いとは言えないし、うっかり屋だった。
でも毎晩そんな怖い思いしてるはずなのに毎日11時になるまで昨晩の恐怖を忘れてしまう。
何時も自分が妹と寝てる部屋の襖の前まで音が近付くビビって気絶したのか気が付くと朝だった。
こんな日が毎日続いた。
誰にも言えなかった。
言うと何か恐ろしい事になりそうだった。
小学生になり、いくら馬鹿な自分でもこれはおかしいと言う思いが日増しに強くなっていった。
で、ある日集団登校の際に他所から越して来た自分を何時も虐める上級生2人が自分を蹴っ飛ばしながらこう言った。
「鬼の家にいるヤツめ」
って。
小一ながら気になってどういう事か必死に聞いた。
そしたら途端に上級生達は顔を青くした。
そして自分と妹を置いて学校へ行ってしまった。
その日自分は妹と一緒に学校を休んだ。
その日、又11時になってあの音が聞こえてきた。
その日は何故か
「何クソ」
と言う気持ちだった。
今日こそ正体を見てやろうと襖の前に立った。
そして足音が襖の前で止まった。
「さぁ、来るなら来い!」
と、思った次の瞬間、襖が開いた。
そこに居たのは上半身を屈め、自分を見下ろしている赤黒い鬼だった。
正直何が起こったのか分からなかった。
只、恐怖で体が全く動かないとはあの事を言うんだろうと思う。
親や教師に怒られてる時の感覚とは別。
生命の危機を目の前にして体が全く言うことを聞かない。
鬼は自分を見下ろして牛の様な馬のようなトカゲか蛇の様な青臭い様な良く分からない匂いの息をばはぁーばはぁーと吐きながら自分を見ていた。
そして鬼が自分に近付いてきた。そこで意識が途切れた。
気が付くと布団の中だった。
時計は夜11時を指していた。
「夢?そんな馬鹿な」
そう思ったが恐怖から解放された安心からか直ぐに眠ってしまった。
夜が明け、集団登校の集合場所に行くと上級生二人が居なかった。
集合場所に来てる人も自分と妹含め4人だけ。
何があったか聞いても俯いて答えてくれない。
その日は4人だけで集団登校した。
それから1週間。
家でも学校でも変なものを見た。
授業中だろうとトイレだろうと。
テンプレみたいな女の幽霊やら、生首やら、鎌を持った何かやら、狐やら、三目のカラスやら、顔に目玉が何個も着いている落ち武者みたいな頭の紫色の何かやら。
そして1週間が経った頃、家が火事に遭った。
出火はブレーカーの漏電だった。
さらに1週間後、上級生の一人の家族が県外に引っ越して行った。
引っ越しを手伝わされたが、上級生は口から涎を垂らしていた。
そしたら上級生の婆さんは上級生の両親を杖で叩いて
「何人様にさしてんだ」
と怒っていた。
上級生の爺さんは泣きながら自分と妹に謝り、封筒をくれた。
親に渡したら100万入っていたそうだ。
もう一人の上級生は不登校になった。
後で聞いたら先生に裏切られたとか何とか。
その後自分の両親も家の周りに住んでいた人も不仲になっていった。
周りに住んで居た人は次々に引っ越していき、新しく人が来ても1年もたなかった。
まぁ、自分の父に当たる男は元からクズだったし、今は離婚して妹と、自分は母方に着いてるけど。
結局自分が中学に上がるまで大日通りには居た。
自分と妹は小中高と虐められ続けた。
父にあたる男が地元でも有名なクズだったからもあるだろうけど。
只、いじめられるその度に
「鬼の子」
と呼ばれるのが妙に不思議だった。
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