12月ということでジジーが学生の頃のクリスマスの体験を書いてみる
3年の冬だったか、サークルの男女10人ばかりで酒、食料を持ち寄ってパーティをやった
所謂、恋愛偏差値の低い奴ばかりの集団(クリスマスに暇な時点でお互い納得)
このメンツでつるんでいてもそういった関係にはならないというのが暗黙の了解みたいな雰囲気で、かえって気楽に楽しく遊べてたような気がする
その晩もガンガン飲んで、駄弁って、ダンパまがいのこともして楽しかった
日付が変わったころ、パーティを打ち上げて肩を組んで表通りになだれ込んだ
夜が明ければお互い帰省で暫くバラバラなので名残惜しくてウダウダやってた
通りは人通りもなく所在なさげの街灯があちらこちらに佇んでいる
車も走っていない
そろそろ解散しようかとかいう雰囲気になったとき、いきなりの雷鳴の後、暗い夜空からシャワーのように雪が落ちてきた
ちらちら降ってくる雪のイメージとはかけ離れて一直線に密度濃くどんどん落ちてくる
真黒く沈んでいた舗装道路がみるみる白くなっていく
街灯に照らされて闇の中でスポットライトをあびたように白く輝く雪面が美しかった
暫く眺めていたら、突然水の吹き出す音とともに中央線沿いに×字型の水の放列が並んだ
融雪装置の作動開始の瞬間だった
雪で覆われた深夜の大通りに遥かかなたまで延々と噴水の放列が続く様を、雪のカーテン越しに見たのはこの世のものと思えない光景で、なにかあちらの世界へ誘う参道のように思えた
静かで何も動くものもない、水の音と落ちてくる雪と俺たちのお互いの息遣いだけが知覚のすべてだったような気がする
雪国の人からすれば当たり前の日常なんだろうがあんな感覚はあれっきりだ
あれから数十年たって俺も家庭を持ち数多のクリスマスを過ごした
あのときの仲間とも次第に縁遠くなったがいつかあの街であのときの瞬間を語ってみたい
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