生前、映画の舞台道具をつくる仕事を祖父さんはしていた。
そこで戦前のサイレント映画の中に『お岩さん道中記』という映画があったと聞いたことがある。
ストーリーは怨霊となったお岩さんが、女にひどくあたる男たちを祟り殺していくという。
一部の人たちがよだれを垂らして大喜びそうな題材であったという。
最終的には、幸せそうな西洋式の婚礼をしている新婚夫婦を見て嫉妬に狂い、
祟り殺そうとして逆に神父さんにこっぴどい目にあい消えていくという話。
面白そうな話だが、どこをくぐってもそんな映画があったことなど出てこない。
戦前の映画でフィルムが空襲で焼失してしまったのかもしれない。
あと祖父さんの言うには、昔の映画は本当に製作期間が短かった。
映画を急ピッチで作らなきゃいけなかったため、お岩神社にお参りしなかった。
その後、主演女優が失踪したり、舞台背景が炎上したり、さまざまなことが起きたそうだ。
結局、なんとか公開にはこきつけたが、まったく当たらず消えたという。
お岩さんをやるのなら、お岩神社にお参りはしとけという話のようだが、
当時の主演女優の立場になって考えてみると、お岩さんはキツイよなぁ。
コメントを残す