母親を癌で亡くしたとき、自分は12歳だった。
弟と妹で頑張っていこうなんて、葬儀のときに健気に父親と約束した。
ところが父親は3回忌を待たずに再婚することになった。
しかも結婚紹介所なんてとこを通して、知り合った女だとよ。
無性に腹が立った。
その女がはじめて家にくる日に、
父親とその女を徹底的に無視してやろう、困らせてやろうと、企てていた自分。
母親とは全く違うタイプの女が来た。ポッチャリしてよく笑う。
おまえら!そんなに嬉しいのかよ!
玄関で思い切りガンとばした。
その女、簡単な挨拶。
家に上がりこんできた。廊下でその女が父親に聞いた。
「奥様のご仏壇はどちらですか?」
母親の写真をじっと見て、線香をあげ、両手をついて頭を深く下げた。
「どうぞよろしくお願いします。奥様が大切になさったご家族を、私も大事に致します」
その女、長いこと仏壇の前に座って動かないでやんの。
時々すすり泣いてやんの。
とうさん、ヤルじゃん!
タヒんだかあさんも、この人なら喜んでるよ!
あれから15年。
昨日、孫がうまれたよ♪
不思議と2人のかあさんに似てる。
かみの毛、黒くてフサフサはタヒんだかあさん。
産声がでっかくて元気なとこは、育ててくれたかあさん。
ありがとうございました。
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