これは俺の婆ちゃん家の隣にあった家の話。
俺が産まれるずっと前の話だし子供の頃に婆ちゃんから聞いただけだから、あまり詳細には書けない。
その家には中年の夫婦が住んでた。
ある日その家の奥さんが出かけた先で近所の人に会って、
「さっきお宅の縁側にお客さんが座ってた」
と言われた。
そのお客さんがどんな人か聞くと
「白髪の老婆だった」
と言われたけど、その奥さんの知り合いで白髪の老婆に当てはまるのは近所の年寄りぐらいしかいないし、その老婆が近所の人だったら、田舎だから近所の住民はみんな顔見知りなので〇〇さんと言うはずだった。
客が誰なのか気になった奥さんはすぐ家に帰ることにしたが、家に帰ると誰もいなかった。
旦那さんに思い当たる人がいるか聞いても誰もいなかったし、その後老婆がまた訪ねてくるということもなかった。
しかし、しばらく経ったある日、また奥さんが出かけ先でご近所さん(今度は別の人)に会って
「縁側に老婆が座ってた」
と言われて、でもまた家に帰ると誰もいなかった。
そんなことがその後何回かあって近所でも噂になったし、俺の婆ちゃんはその奥さんからもし老婆を見たら教えてと言われたそうだけど、実際に見たことは無かったらしい。
最初に書いたように俺が産まれるずっと前の話だしこの家はもう無いんだけど、この家が無くなった原因っていうのが火事だった。
そんでその火事の後に何人かの近所の人達が
「燃える家の中から逃げていく老婆を見た」
と言ってたそうだ。
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