大した話じゃ無いんだが
俺は日本南方の県出身でその県のいわゆるベッドルームタウンに住んでるんだが、その市(仮にX市とするが)の市民センターで不思議な体験をしたんだ。
X市は前述の通りベッドルームタウンだから夜はかなり暗い。
街灯はそれなりにあるが21時も過ぎれば市全体が眠りについたように静かになる。
そんなX市の外れにある市民センターは俺の通勤路で毎朝毎晩通っている施設だ。
その夜、俺は残業があったために22時ごろ市民センターを通ることになった。
市民センターにはコートがいくつかあって俺が通る道沿いには高さ5mくらいの網に囲まれた大きなサッカーコートが一つと2mくらいの網に囲まれた4面分のテニスコートが一つあるんだがその日はサッカーコートだけがやけに暗かった。
暗かったって表現は本当は正しく無い。
正確には黒かった。
真っ黒。
街灯も点いてるのにそこだけ切り取られたように黒かった。
不思議と怖かったり不気味に思ったりする事はなくなんでだろうなーとじっと見てたらなんか上から気配を感じた。
これも気配というよりか敵意?みたいなそんなの。
残業で疲れてたのもあって、あ?と若干イラつきながら上を見たら何かいる。
真っ黒なはずのサッカーコートの中でより一層黒い人型のそいつは四つん這いで網に捕まって俺を見下ろしていた。
思わず俺が固まっているとそいつはゆっくりと口?を開けて、皿←みたいに歯を食いしばり(ギリギリと嫌な音がした)始めた。あまりに不愉快だったんで前を向いて歩き出そうとしたらガシャ!ガシャ!ガシャ!と上から大きな音がして慌てて見るとそいつが歯を向いたまま四つん這いで網を駆け下りてきていた。
流石に俺もヤバイと思って思わず目を閉じて身を屈めたら、身震いするような低い大きな声が耳元で
『あぁぁあぁぁぁあぁぁぁ!!!』
って響いた。
確か30秒くらい。
音が止んでゆっくり目を開けて見るとさっきまでの暗さが嘘のようにサッカーコートが明るくなってた。
端から端まで見えるくらい。
あまりに不思議で頭を傾げたが、何だったのか分かるわけもなくそのまま帰った。
それ以降は特に何も起きてはいない。
–END–
『匿名希望(年齢?歳・♂)』さんからの投稿です。
ありがとうございます。
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