今から20年くらい前の話になります。
当時、私は自衛隊を止めて警備会社に就職したばかりでした。
当時はまだ血気盛んで、飲みに出る事もあり、良く絡まれた事もありました。
あれは夏の日でした。
私はボーナスも出た事もあり、翌日から休みだったので飲みに出ました。
居酒屋で飲んでいると、私を睨み付ける連中がいました。
地元では有名なワルで、ケンカ、カツアゲなどで警察のご厄介になる事もしばしばありました。
また、そいつらは目をつけた相手を散々いたぶる事もありました。
噂では、地元893の組事務所に出入りしていると聞いた事があり、私は何故か目をつけられてました。
(仮にA、Bとします)
Aは高校生の時に暴力事件を起こして少年院送りになり、Bは取り巻きのような存在で、二人で良くつるんでました。
その日、AとBは彼女連れ(A子、B子とします)で居酒屋に来てました。
二人ともに化粧は濃いのですが、明らかに未成年のようでした。
実際未成年だったけど・・・。
私がカウンター席で飲んでいると、いきなりBがやって来て私の胸ぐらを掴んで来ました。
私は元陸上自衛隊の普通科隊員で武術も習っていたので、振りほどこうと思えば簡単に出来ます。
ですが、相手に好きにさせました。
「Aさんが今度心霊スポットに行くからお前も着いてこいて言ってる!絶対に来い」
「ああいいよ。絶対に行くって伝えてくれ」
Bは呆気に取られてたけど、すぐAに伝えたのか、店を出るまで睨まれました。
しばらくして、時間が出来たのでA達と山奥にある廃墟に向かいました。
来ていたのは、A、B、A子とB子で、車はAのマジェスタの中古車でBが運転。
私はワゴンRの新車。
廃墟に着くと、私のワゴンRの後ろにぴったり着けてきました。
逃げられないようにするとかぬかしやがった。
廃墟は建物はしっかりと残ってたけど、窓は全部割れて荒れ放題。
見るからに何か出そうな雰囲気。
聞けば一家斬殺事件があり、まだ犯人も捕まっていないとの事。
私は仕事で使っているデカいマグライトを持って中に入りましたが、A達は騒ぎながら入ってきました。
A達が私を押し退けて奥に進んだその時、柔らかくなった畳の部屋の奥で黒い影がむっくりと起き上がりました。
途端にAとBが悲鳴をあげながら逃げ出し、A子とB子はへなへなと座り込んでしまいました。
廃墟を飛び出したAとBはマジェスタに乗り込むとものすごいスピードで逃げていきました。
私は落ち着いてマグライトを向けると、まだ小さいイノシシがフゴっとか言ってたの見て笑ってしまった。
A子とB子もそれを見て笑っていました。
「あいつら、女の子置いてきぼりにしやがった。家まで送るよ」
それを聞いた二人は、満面の笑みだった。
車中で聞くと、A子は893の親分さんの娘で、B子は友達で、やっぱり女子高生だった。
家まで送って行くと、親分さんからめちゃくちゃ感謝されてちょっと焦った。
それから、私はB子と付き合うようになりました。
AとBは置き去りにした事にマジギレした親分さんに散々な目に合い、姿を見なくなりました。
後で調べてみると、廃墟は本当にただの廃墟で、一家斬殺事件なんてありませんでした。
その事をB子に話したのは、新婚旅行先のホテルのベッドでした。
あれから20年が経過し、上の子の結婚が決まったので思い出して書きました。
長文、駄文失礼しました。
–END–
『まさゆき(年齢?歳・♂)』さんからの投稿です。
ありがとうございます。
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