3年位前の話。
車で旅行をした帰路、あるファミレスに立ち寄った。
疲れていて一刻も早く休憩したかったので、普段はしない頭入れ駐車(前進駐車)をした。
食事をして、ファミレスを出ようと車に乗りエンジンを掛けてギアをRに入れると、ピーという音(センサーの警告音)とともにバックモニターに小さな男の子が映った。
男の子はしゃがんで地面に何か書いてるみたいな動きをしているが、まったく車に注意を払おうとしない。
もう夜中に近い時間だったし近所に民家もあるのでクラクションは鳴らせないと思ったので、やむなくギアをPに戻し、車を降りて車の後ろを見ると誰もいない。
いたずらっ子がこちらの動きを読んで死角へ死角へと隠れてるのかなと思い、助手席の連れにも車外に出てもらったが誰も見当たらない。
念のため車の下も覗いてみたがいない。
まぁ、僅かな隙に隣の車の陰にでも隠れて、そっとどこかに行ったのかなと、その時は思った。
で、もう一度車に乗って、ギアをバックに入れた時の驚愕といったらなかった。
先ほどとまったく同じことが起こったのだから。
車内に響く警告音と、バックモニターに映る子供の姿。
ややパニックになりながらも、いたずらっ子めと少し腹が立ち、逃げる隙を与えないように素早くギアをPに入れてすぐに車外へ飛び出したが、先ほど同様誰もいない。
ここでようやく、その子がどうやら実在しないんじゃないかと疑い始めた。
よく考えてみれば、深夜に近いこの時間に、親御さんの姿もみえないのに4~5歳くらいの子がファミレスの駐車場にいるのもおかしい。
連れに車外で様子を見てもらいながら再度ギアをバックに入れると、また警告音と子供の姿。
だが連れは、開けておいたウインドウから誰もいないからバックして構わないと言ってくる。
どうしようか迷ったが、まさかこのままここに釘づけになるわけにもいかないので、意を決して車をバックさせた。
敢えてモニターからは目を離していたのでその子がどうなったかは分からないが、車は何ごともなくその子がいたはずの地点を通過して、切り返して方向転換をすることができた。
連れを助手席に乗せて駐車場を後にしようとして、最後に何となく気になってバックミラーを見ると、そこには同じように地面に何か書いているような小さい男の子の姿が映っていた。
その子がこちらを向くんじゃないか、ミラー越しに目が合ったらヤバイんじゃないかと思って、慌ててミラーから視線を外し、急いで駐車場を後にした。
何でそんな事が起きたのかは今でもわからないし、調べようとも思わないが、駐車場で死亡事故が起きたというニュースを目にするたびに、ひょっとするとあの子もそうなのかもしれないと思う。
それ怖いね1人じゃなくて良かったね。