近所の霊感おばさんから夏祭りの時に聞いた話。
霊感おばさんの相談者の女性が、幼稚園時代に体験した話だそうです。
私は幼稚園の頃に『光の誓い』という曲を歌った事を覚えている。
だけれど大人になった今、『光の誓い』がどんな歌だったのか覚えていない…
今でも大切に取って置いている幼稚園の頃の歌の本にも載って無いし、ネットとかでも色々調べてみたけれど同じ名前の童謡は無かった。
曲名の似ている曲を幾つか調べてみたけれど、どうもどれもメロディが違う。
『光の誓い』を教えてくれたのは私の居たチューリップ組のU先生だった。
チューリップ組ではとても人気のある歌だったが、私には何か怖いと感じる曲であまり好きにはなれなかった…
どう怖かったのかは上手く言語化出来ないのだが、難しい歌詞と、なんとなく暗い音程のメロディが嫌だった。
あと、気になる事も一つ体験している…
チューリップ組全員で近所の神社の森に遠足に行った時の事だ。
U先生が
「さあ、みんな?神社にこれからちょっとだけ冒険に行きますよ!」
と急に言いだしたのだ。
私は藁で作ったお人形を持っていた。
それはU先生に手伝って貰いながら作った人形で、チューリップ組の皆も一体づつ持っている。
ちなみに、この遠足で大人はU先生しか居なかったと思う。
手元にあるアルバムにもこの遠足の事が書かれていない…
神社に着くが、U先生は森の奥へとどんどん入っていく…園児もだいぶ疲れて来た…
その内に真黒な3本の木のある雑木林に出た…
U先生が釘と金槌をリュックから取り出し、
「皆さん!お人形さんを木にくっつけてあげましょうね!」
と言った…
U先生に手伝って貰いながら、沢山の藁のお人形が真黒い木に打ち付けられていく…
最後にみんなで『光の誓い』を歌った…
歌いながら泣き出す子や、何かに怯えて強く目を閉じている子も居た…
この歌声には、お経を逆再生した様な不気味な声が混ざっていた様な気がしました…
森から出ると、もう空は夕焼けだった…
神社の傍にあった公園に園児を集めて、
「はい!自由時間ですよ」
とU先生は言った。
ほんの短い間かくれんぼをしたりして遊んだ後に、幼稚園に戻った。
翌日、熱を出したり、手に怪我をしたりしてチューリップ組の園児の何人かが休みました。
私もその一人です。
数日後に熱が引いて幼稚園に行ってみると、U先生は幼稚園のどこにも居ませんでした。
「U先生はどこ?」
と、私は組中の友達にU先生の事を聞きましたが、皆
「わからない」
「もう幼稚園を辞めちゃった」
とか言います。
というか、初めから
「U先生など知らない」
と言う子も居ました。
遠足の事も覚えている子は少数でした。
U先生はもう幼稚園を辞めていたのでしょうか?
お別れ会があったという話も聞きませんし、アルバムにもU先生の顔は写っていないのです。
今思うのですが、あれは普通の遠足では無かったのだろうと思います。
幼稚園の他の先生達にも
「U先生はどこ行ったんですか?」
と聞きましたが、変な顔をされるだけでした…
その内に何故か幼稚園ではU先生の噂をする事が禁止されてしまいました…
でも、当然ですよね?
何せU先生の名前…Uは『うでちぎり』と言うのだから…
どう考えても人間の名前じゃありませんよね?
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