一昨日、仕事帰りに行きつけのゲームセンターで三国志大戦をプレイしにいった。
すると、よく知っている先輩のMさんが事務所の前で落ち着かない様子。
「どうしたんですか?」
と聞くと、
「黒いバッグがちょっと眼を離しているすきになくなった」
との話。
災難だな、と思ってコーヒーを買って渡して2人で雑談していたら、奥の方から店員が小走りで駆けてきた。
手には何となくなったはずのバッグ。
Mさんが
「どこにあったの!?」
と焦りながらも尋ねると、
「便器の裏にありました」
との事。
中に入っていたiPhoneとお札を入れていた財布はなくなってた・・・
店長さんが
「防犯カメラを遡って追ってみます」
と言ってくれたので、お願いして30分くらい待つ。
すると社員さんが
「犯人が分かりました。ただ・・・」
と、何やら煮え切らない様子。
その社員さんが言うには、
「手にバッグらしきものを持っている人物を捉えたんですが、暗くてハッキリとは見えません。ただし、バッグがなくなった時間から今までに、バッグらしきものを持ってトイレに入り、手ぶらで出てきた人物は一人だけなので、 まず間違いないはずです」
との事。
Mさんが
「どういう奴だ?」
と、やや熱くなって更に聞き返す。
買って一月も経たないうちにiPhoneを取られたのだから気持ちは分かる。
「浮浪者風で、茶色のズボンに黒のベストで、顔はわかりません。よく映っていないんです・・・」
と社員さん。
ゲーセンは暗いからそんなものかな、と思ってた。
「カメラを見せてくれ」
とMさんは食い下がるが、
「カメラの位置が分かってしまいますし、警察機関に証拠として提出は可能ですが、お客様にお見せする事はできません」
と断られる。
結局、警察が来てカメラの映像を見ても、取った瞬間も人物もはっきりと見えないので状況証拠にしかならず、仮に犯人らしき人物を見つけても認めさせる事は難しいとの事。
少し置いて、
「ただねぇ・・」
と警察の方。
「私も店長さんとカメラ何回も見たんだけど、どうもおかしいんだよね。カラーだし、トイレの前、私も見てきたけど照明たくさんあるんだよ。でも、俯いてるわけでもないのに、顔だけが真っ暗になってるんだよね・・・。私個人としては、こいつが犯人だとは思うんだけど」
結局、被害届のみを提出して、(おまわりさんが書き間違い多くて待たされた)夜中の二時すぎにお礼を言って二人で飲みに行こうと退店。
先輩の自転車を取りに、他愛もない話をしつつ歩く。
「そういう事もありますよ・・・」だの、「こういう時期ですからみんな苦しいんだろうな・・・」等と。
街頭も少ない真っ暗な路地。
「ここに自転車を止めているんだ、待っててくれ」
とMさん。
次の瞬間、
「うわああああああああああああああ!!!!!」
とMさんの叫び声が・・・
走って向かうと、俺にもすぐその意味が分かった。
水色の鮮やかなビアンキの自転車のサドルの上に、MさんのiPhoneがぽつんと置かれていた。
俺たちは見つかってよかったなんていう気持ちが沸くはずもなく、ただ呆然と立ち尽くすしかなかった。
で、ようやく落ち着きを取り戻して本体を調べると、間違いなくMさんの物である事が分かってくる。
ただし、カメラロールに新しい写真が10分程前に何枚か追加されてた。
Mさんの自転車をいろんな角度から撮影したものだった。
以上、失礼しました。
でも、全部事実です。
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