クラブの店員をしてた時期があって、その時に起きた話。
当時、ダンスに夢中になってて、週末は必ずと言っていいほどクラブに通ってたんだわ。
そんな訳で、そこのオーナーとは必然的に仲良くなったんだ。
ある日、店員が一度に2人ほど辞めてしまい、
「もしよかったら、うちで働いてくれないか?」
とのお誘いがきた。
初めは迷ってたんだけど、クラブに通うお金も馬鹿にはならないし、タダで店内で流れてるダンスのビデオも観れるし、むしろ好都合だと思い、アルバイトというかたちで働かせてもらったんだ。
でも、いざ働いてみるとこれがかなりキツイ労働w
お客さんが店にくるまでひたすら店内清掃。
これだけでバイトが終わるときが月1~2回はあったw
だから、お客さんが遊びに来たときは過剰というぐらいの接待をしてた。
そんな日々が過ぎていき、働き出してから3か月目の頃、2人のお客さんが遊びに来た。
初めて見る顔だったので、常連さんになってもらいたい一心で、暇さえあれば2人に声をかけてた。
で、閉店間際にその2人のうちの1人から、
「よかったら帰り家まで送って行ってくれないかな・・?」
と言われた。
どこの店もそうだと思うが、基本お客さんとは恋愛禁止。
かなり迷ってたんだけど、マジで足がないらしく、店のスタッフには内緒で送っていく事にした。
店内にいる時は気付かなかったんだけど、わりと可愛い子だしノリも良いw
なんとなくだが、彼女にしてもいいかもな・・・なんて考えてた。
それから彼女が店に遊びに来たときは必ず送っていった。
もちろん店のスタッフには内緒で。
男女の関係になるのもそんなに時間は掛からなかった。
むしろ俺の方が彼女にはまっていた。
その日も店が終わり彼女を家まで送り届け、自宅までの帰路を車で走ってた。
その最中、なにげなく斜め前方に視線をやったら、なんか怪しい感じのする男性が道路脇からこっちを見てた。
とっさに、これはまずい・・・視線変えなきゃと思ったんだけど、なぜか視線を変えれない。
その場を走り去るまで僅かの時間だったと思うけど、最後まで視線が合ったままだった。
その時を境にして、今まで見えなかったものが突然見えるようになった。
幽霊ってやつを。
詳しく言うと、あの時の怪しい若い男性。
首が取れ掛かってる。
見えるのはこいつだけ。
むしろ付きまとわれてる感じさえした。
でも、彼女といる時だけは不思議と見えなかった。
付き合いだしてから2か月目くらいの時だったと思うけど、デートの最中に腹が減ってきて喫茶店に入ることにした。
その店はかなり前から行きつけの店で、窓側からみえる海が絶景だった。
先客がいないときは必ず座る席があって、注文する物はいつも海老ピラフとウーロン茶。
二人で店に入った時間帯は夕方ころだったんだけど、ラッキーなことにお客はゼロ。
なのになぜかお気に入りの席には座らず、奥の薄暗い席に座った。
彼女が突然
「えっ・・」
って小さく呟いたのを聞こえたが、そこはスルー。
店員がきて注文を聞かれ、なぜかその日に限って別のを注文した。
「じゃ、卵サンドとバナナミルクをお願いします」
って感じで。
そこで彼女がもう一度
「えっ・・・」。
流石に俺も気になったから、
「ん?どうしたの?」
ってすかさず聞いてみたんだ。
しばらく時がたってから、彼女が重い口を開いた。
「うん・・なんでもないよ。たいしたことないから・・・でも・・・」
「いや、なんか気になるでしょw教えてよwwww」
「気を悪くしないでね・・・私さぁ、初めての彼氏と初デートの時、この店きたんだ・・・」
「へぇーw」
「でね、座った場所がここでね、彼氏が注文したのが卵サンドとバナナミルクだったの。偶然ってあるんだなぁーって思ってた」
「ふーん・・・で、その彼氏は今どこにいるの?」
「・・・・・・」
ここで彼女はちょっと涙目になってきた。
「あっ、ゴメン・・・なんか余計な事聞いた?」
「いいの。なんかゴメンね・・・変な空気にしちゃって」
「あっ、全然平気wwwww言いたくなかったら言わなくていいよw」
「・・・死んじゃったんだ。バイクで事故って・・・」
その瞬間、俺の頭の中で全てが噛み合ってきた。
「もしかして、事故った場所って国道?号線のH町のあたり?」
「なんで知ってるの!?」
「・・・いや、なんとなく」
多分推測だけど、この彼氏は俺の身体を通して彼女と会ってたのかもしれない。
そんな事を考えながらその日は喫茶店を出た後、彼女を送って自宅に帰ったんだ。
次の日、このことを友人に話したら、一回お祓いしてもらえ!ってなって、渋々神社に行ってお祓いをしてもらった。
それから、その幽霊はまったく出てこなくなったんだわ。
で、彼女からも連絡がこなくなった。
まぁ、こないだがアレだったしすぐ連絡するのも気が引けるな・・・なんて考えてたんだけど、流石に1週間も音信不通だと不安になって彼女に電話すると、
『現在この電話番号は・・・』
「ちょwwwおまwww」
焦って彼女に家に行ったら、すでに誰も住んでなかった。
いったい彼女と付き合ってた期間ってなんだったんだろう・・・って不思議な話でした。
コメントを残す