中学生の頃、繁華街のはずれで別の中学校の学生2人にからまれた。
「悪いけど4000円ほど貸してよ。僕ちゃん」
だってさ。
俺はもう当時アニメ・漫画・ゲーム三昧で、必殺技の名称および自分の隠された能力を研究・開発することに没頭していた。
絡まれた瞬間はマジでビビった。
そんなことあるとは全く思ってなかったから。
でも強がる性格だけはゆるぎなく、
『あん?なんだ?おまえら』
と主人公らしくキレイな声を出して俺は答えた。
相手が
「おまえ、ヤル気か?」
とか言ってきた瞬間、必殺技が出た。
自分でもびっくりした。
そりゃ、毎日、部屋の中で、学校で、練習できるところで何十回、何百回と練習してきたんだからな。
恐ろしいもんだ。
毎日腐るほど練習していれば、息を吐くように必殺技が繰り出せるもんだよ。
自分でもびっくりする。
その必殺技とは、まず右半身を後ろに引きながら右腕を一度静かに後ろへ持っていき、そして半分だけかめはめ波を打つような体制に入って、その直後思いっきり腰の回転&地面を蹴り上げる反動を利用した、少し上からのナックルが相手の顔面を捉えるというもの。
目の付近にヒットさせると『暗闇』の追加効果。
アゴ付近にヒットした場合だと『気絶』の追加効果。
デバイス・アンタレスタ・スギュラクタ!!!!!!
ちゃんと発音できたかどうかは覚えていない。
とにかく、当時俺が考えていた接近戦で最も効率的な必殺技を繰り出した。
それが『デバイス・アンタレスタ・スギュラクタ』だったんだよ。
何やってんだ俺。
とにかく、街中にその叫び声が響いたことだけは記憶している。
そんでもって、あろうことか、そのタメパンチが相手の眼球か眼球付近にクリーンヒット。
3メートルほど吹っ飛んだ。
まさにクリティカルヒットと言ってもいいくらい。
で、俺の勝利のセリフ。
公衆の面前で。結構な人に見られた。
『神と魔王が俺に等しく力を授け、そして放たれた一撃。それが、デバイス・アンタレスタ・スギュラクタだ。覚えておけ・・フフ・・』
などと言って、さっそうと振り返って去っていった。
近くに居たDQN風な兄ちゃんに、
「デバイス・アンタレスタ・スギュラクタってつえ~なあww」
とか言われた。
死ね俺。
コメントを残す