深夜帰宅途中に神社の前を歩いてたら頭に軽い衝撃をうけた。
何故かこめかみあたりに甲虫がぶち当たったらしくゆるく編んだ髪に引っかかってもじょもじょしてた。
心底ビビったんだけど、昔服に張り付いた虫を取ろうとして足と体液が服に残った、って事件があったもんだからバクバクな心臓を抑えるために
「あーはいはい待って待って今出してやるから」
とわざとのんびり独り言を言いながら放してやった。
無事に飛んで行ったのを見届けて、さあ歩き出そうと前を向いたらこっちを凝視して硬直した老夫婦と目があった。
傍から見たら私が頭から虫を召喚したように見えたようで、無茶苦茶おびえて互いに手を握りあう老夫婦。
婆ちゃんの方が今にも叫びだしそうだったので、刺激しないように微笑みを絶やさずゆっくり通り過ぎることにした。
老夫婦とはちょっと距離が空いてたんだが、足音がコツコツいうたんびにビクッってされ続けてた。
距離が1mくらいになったときにヒールが引っかかって変に立ち止まってしまって気まずい空気。
とりあえず何か喋ろうと思ったらもう婆は叫ぶ準備万端な息の荒さ。
これはまずい何か喋らにゃ、と咄嗟に私の口から出てきた言葉は
「ご内密に」
「お静かに」的な言葉が見当たらなかったんだ...。
ガックンガックン頷きながら、よろけよろけに私から遠ざかり神社ににじり寄っていく老夫婦。
本当は全力ダッシュでその場から逃走したかったけどこれ以上不審者度を上げたくなかった私はゆっくりと歩いてその場を去っておいた。
明日からあの道通れない...
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