武勇伝ではないけど、DQNに絡まれたときの話を聞いて前の職場で仲のよかったSさんを思い出した。
年上だったんだけど、童顔で子供っぽいし、気さくな人で部下にもきちんと敬語で丁寧に接するタイプ。
ゲーム好きの俺とは気が合って、対戦格闘華やかなりし頃だったから、よく一緒にゲーセン行ってた。
ある日、いつもと違うゲーセンに行ったら戦い方に文句つけられてDQNが3人くらい絡んできた。
Sさんはオロオロしながら
「気を悪くされたなら謝ります、すいませんでした」
とか言ってる。
俺は少しは喧嘩が出来る方だと思ってたけど、強そうなの3人相手とか無理っぽいなぁと困ってるうちにDQNの1人がSさんを思いっきりぶん殴った。
ところが、結構いいパンチだったのに、Sさんはよろめきもせず相手を一瞬見つめただけ。
それか気にくわなかったのか、怒声を浴びせてさらにキックとパンチを1発ずつ。
それでもSさんは
「他の方の迷惑にもなりますから、やめてくれませんか」
と言うだけ。
そこに、ハート様みたいな超デブが登場。
どうやら3人組の兄貴分っぽくてマジでやべぇ、どうやって逃げるかと俺もパニックになってると
「何やって…あれ?S先輩、久しぶりっすね」
「おお!Nじゃん!久しぶり!悪いけどこいつらどうにかしてくれよ」
「え…もしかしてコイツら、S先輩に絡んでたんですか?」
どうやらSさんはNとかいう超デブと知り合いの様子。
それを見た3人組が戸惑いながら包囲を解く。
Sさんは周りの人と店長にお騒がせしました、と謝った後立ち話も何だからと、俺、Sさん、N、3人の6人で近くのファミレスへ。
「3人ともおまえの知り合い?」
「マジすいません…あとでシメときます」
「ちょ、おまえシメるとかやめろよ、二十歳も過ぎてみっともないw いいよ、別に大して痛くなかったし。でもああいうの、よくないからやめろよな」
「ってゆーか先輩、なんで自分でやっちゃわないんですか?w」
「お前、俺が喧嘩とか嫌いな、か弱いチキン野郎だっての知ってんだろ!w」
「か弱いとかwww俺より強いじゃないですかwww投げられた覚えしかないっすよwww」
「ありゃ投げたんじゃねー転がしたんだ…っつーか、お前と乱取りやるのキツかったんだかんな!w」
話を聞くと、Sさんは元柔道部で、全国大会出場経験もある上中学時代にこの超デブに柔道を教えてくれた恩のある先輩なんだそうだ。
いつもの丁寧な感じとは違って、旧知の後輩の前で思いっきり砕けて話すSさん、その姿と経歴にポカーンとする俺、すさまじく居心地の悪そうなDQN3人組。
せめて詫び料、ということでおごってもらったチョコパフェを美味しそうに食べてるSさんの姿が未だに印象に残ってるよ。
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