これは私が子供の頃の話です。
当時私は地方の田舎に住んでおり周囲に民家も少なく学校に通うのも片道で50分は歩かなければならない所でした。
途中の道のりは昼間でも薄暗い林の中を歩かなければならず、その先には古びたアパートが一軒建っていました。
普段から雨戸が閉まっているなど人が住んでいる気配は無かったのですが、ある日の帰り道、普段は人気の無いそのアパートに何人か人が集まり、なにか話し込んでいるようでした。
アパートが近づくにつれ、皆黒い服を着て、白と黒の幕が垂れ下がっており、葬式だと気づきました。
家に帰り母にそのことを話すと、住んでいた80歳近いおばあさんが亡くなったと聞きました。
その話を聞いてからは怖くて、学校から帰るときはできるだけ早く家に帰るようにしてました。
しかし、ある日、つい友達と放課後遊びすぎてしまい学校を出たときは6時を過ぎてしまっていました。
帰り道は街灯も少なく、真っ暗な闇の中を走って帰っていました。
やがて真っ暗な中に黒いアパートが目に入り全力で走り抜けようとしたときのことです。
変な声がぶつぶつ聞こえてくるのに気づきました。
何の声?と思い耳を傾けると、なにか息苦しそうなかすれた声でお経のような念仏をとなえていました。
怖くなり、走ってアパートの前を通りすぎようとした時、アパートの二階の窓が開いており中から薄暗い明かりが漏れていてふっと、見ると目を全開に開いた老婆が二階の窓から体を乗り出しこっちに手を伸ばしていました。
ポポブラジル
ぼぼ
鯨幕御殿