姉の友達のお父さんから聞いた話。
なので又又訊き。
夜に入ってはいけないといわれてるトンネルがあったという。
従姉の友達のお父さんが若かった頃、友だち4人とそのトンネルに肝試しに行くことになった。
そのトンネルは、ちょっと人里から離れた山の中にあって、1台の車にみんなで乗り合わせて行くことになった。
電燈なんてもちろんなく、辺りは真っ暗。
大勢できたもののやっぱり怖くなって、車に乗ったままスピードを落としてトンネルを通過してみることになった。
トンネルの中をそろそろと車が進む。
しかしこれといって不思議なところはない。
半分ほど進んで、なんも起こんねえなあ、なんて車内で話してたところ・・・
ドゴンッ!!
突然の衝撃音。
何ごとかと思って外を見ると、助手席側の窓に男が張りついている!!
慌てて車を急発進させようとすると、いきなりエンスト。
車はうんともすんともいわなくなってしまった。
一同はパニックになり、車を飛び出した。
トンネルを一目散にぬけて灯りもない山道を無我夢中でひた走る。
どうにか山のふもとの村まで辿り着いて、民家に助けを求めたあと初めて気がついたんだ。
一人たりない。
逃げている途中ではぐれてしまったのだろうか?
いや、Yは助手席に座っていた。
男が貼りついていたのは助手席側の窓だったから、逃げだせなかったのかもしれない・・・。
みんな自分のことで精一杯で、誰がどうしてたかなんて全然覚えてなかった。
やばいよ、助けに行かなきゃ、ということになったのだが村人たちはそんな彼らを必死になって止めにかかった。
村人曰く、
「あそこは夜は絶っ対だれも近寄らないんだよ!夜が明けてから行ったほうがいい!!」
結局村人たちにおしとどめられ、一睡も出来ないまま村で朝を迎えた。
昨夜は転げるように降りてきた山道を登って、例のトンネルへ向かう。
車は昨日エンジンが止まったのと同じところにぽつんと、とまっていた。
Yは無事だろうか?みんな小走りで車へ近寄る。
Yは確かに車の中にいた。
だが・・・
あらぬかたを見つめて、けたけたと笑い声をあげていた。
そんな彼は今でも精神病院にはいってるとかいないとか。
ばけらった