ある日会社から帰ってくるとマンションのエレベーターを降りた所でまわりに人だかりが出来ていた。
俺の部屋の前だったのでかき分けて真ん中までいってみると血だまりと白いチョークの人型があった。
隣の部屋のカップルがもめて、彼女のほうが刺し殺されたらしい。
よりによって俺の部屋の前で。
隣の人とは面識が無かったのだがさすがに気分がいいものではない。
しかしがまん出来ない程のことでもないのでそのまま住み続けていた。
すこし経ったある日、買い物をしてから帰ると買い物袋に買った覚えのないチョコが入っていた。
きらいではないが甘い物をほとんど食べないので自分で買ったとは思えない。
なんだろう?と思ってその日はあまり気にしなかったが、次の買い物の時にもチョコが入っていた。
そんな事が4、5回続いただろうか。
たべずに冷蔵庫にしまって置いたつもりだったが、チョコが一つもないことに気付いた。
べつに霊感が強いわけでもないオレだが、さすがに薄気味悪い感じがした。
自分でたべた記憶も無い。
しかし次の買い物のときにもやはり覚えの無いチョコが入っていた。
いつの間に買ったのだろう。
その日は買ってきたものをテーブルの上に置いた。
その日のよる、無意識のうちに起き出してチョコに貪りつく自分に気付いた。
明らかにおれの意思ではなかった。
きっと死んだ隣の女が、心残りだったのだろうと思う。
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