19歳の頃、親と折り合いがうまくいっておらず、家にいるのが苦痛で苦痛で毎日のように徒歩3分のゲーセンでゲームばかりやっていた。
とある日、ゲーセン常連仲間のA君から
「ドライブでも行こうぜ」
と誘われ、1対1だったのでちょっと迷ったが、その男の先輩や同級生に友達がいたのでまあ大丈夫かと思いOKした。
(田舎は狭い)
行き先は近くの山。
峠を攻めて、頂上で夜景を見て帰る、というのが地元民お決まりのパターン。
途中、山の中腹に2軒ほどラブホテルがあるんだが、その1軒から
「助けて」
と叫びながら走り出てきた女性が。
A君に
「ちょっ、車止めて!」
と行って止めてもらい、様子を見ていたら、間もなく包丁を持った角刈りの男が出てきた。
A君は
「えー、巻き込まれたくないよヤバいよ」
と困っていたが
「うるさい!明日朝刊に殺人事件の記事が載ったらうちらのせいだからね!」
と怒鳴りつけ、車の窓を開けて女性を呼び、乗せてからそのまま山を降りて交番へ。
交番で事情を話した後パトカー出動、男は間もなく逮捕。
なんと2人は夫婦で、DV夫との痴話げんかの成れの果てということだった。
でも、女性は腕を骨折していたし、男は板前だったが、人に刃物を振り回したということで一応は事件扱いに。
事情聴取が終わった後、A君に家まで送ってもらった。
降り際
「俺の彼女にならない?」
と唐突に言われ
「へ??何で???」
と聞いてみたら
「最初は見た目が派手で軽そうで、仲良くなればそのうちヤれるかな?と思ってたけど、さっきのことで見直したよ」
それを聞いて、なんだか無性に腹が立って腹が立って
「何かあるたび勝手に期待したり幻滅したりする人とつきあえない。理由もなく好きになってくれる人じゃないと嫌だ」
と言ってお断りした。
断ったあと、ものすごく胸がスーッとした。
断って正解です貴女こそ大幹部獄吏候補です