ちょっと前の話なんだけど、うちの店に酔っ払ったDQN客4人が登場し、バイト仲間のNさん(女)に絡んでた。
メールアドレスを聞こうとしたり、その他色々。
Nさんは笑って受け答えしていて、迷惑なのかマンザラでもないなのか微妙だった。
よって、誰もが仲裁に入るのに躊躇った。
(DQN客達がヤンキーで怖かったのもあるけど)
そして、バイトが終わり、スタッフ全員が店から出て、帰ろうとしてると、そのDQN客達が駐車場でNさんを待ち伏せしていた。
「これから遊びに行こう。」
とNさんを誘っていた。
Nさんは必死に断っていた。
(この時、やっとNさんが嫌な表情を出したので、実は迷惑だったのだと気づいた)
俺が仲裁に入ろうとし、近づいて行くとその隙に、Nさんは自分の原付きに跨り ブーンと走って逃げって行った。
DQN客達も慌てて車に乗りエンジンをかけ、Nさんの後を追おうとしたがその時、車の前にガチャン!と自転車が倒れた。
「あーすいません。」
と、普段滅多に喋らない空気的存在、バイト仲間のH君が間の抜けた声で謝りながら現れた。
当然、車は倒れた自転車で前に進めない。
DQN「早くどけ!見失うじゃねーか!」
と叫んでいたが
H君はノロノロと自転車を起こし、
「あっ」
と言ってまた自転車を倒した。
DQN「んだよコイツー!!」
あせりと怒りで叫ぶDQN達。
もうNさんは見えないくらい遠くへ行ってしまった。
怒ったDQN客達は車から降り、H君の胸倉を掴んだ。
DQN「おめぇのせいで行っちまったじゃねーか!!」
とH君の顔数ミリまで顔を寄せ喚いた。
するとH君は全然ビビッてない様子で
「あ~ どうもスイマセン。」
と謝った。
DQN達は
「んだよっ!」
と言い、手を離し、自分達で自転車を退かすと、車に乗り、去っていった。
その光景をドキドキしながら見ていた俺はH君に
「 お、おまえ凄いな・・」
と言うとH君は
「今度から店長に行ってアイツ達、出入り禁止にしなきゃな~」
と、ただそれだけを言い残し、自転車に乗って帰って行ってしまった。
普段無口で、バイト仲間の誰とも喋らず、誰とも親しくなかったH君だけに、びっくりした。
その度胸と機転の好さ。
コイツ・・・本当は凄い奴なんじゃねえの?と・・・。
後日、その日シフトに入ってたバイト達により、H君の武勇伝は語り継がれた。
Nさんは何度も何度も謝りながら、H君にお礼を言っていた。
スタッフ全員、H君をヒーロー扱い。
H君は少し困った顔をしていた。
相変わらず無口で空気的存在のH君だけど、俺達は今もH君を尊敬の眼差しで見ている。
アモーレ
助けられた女子とは進展は無しか