友人Aとその旦那(B)の馴れ初め話を旦那のほうから聞いた。
学生時代合コンに行ったとき、その席に、彼を中学時代いじめていた奴(C)がいたそうだ。
Bに気付いたそいつは、ニヤニヤ笑いながらBをいじめたことを会話のネタにし始めた。
Bは恥ずかしくて情けなくて、言い返すこともできなくて泣きそうになり、それを止める良識のある人が残念ながらいないかと思われたとき、 はじっこの席に座ってじーっとCを睨んでいた女性にCが気付き、
「どうしたの?笑えなかった?じゃあもっとこいつのウケる話してやるよ、あのね…」
と言いかけたところで、その女性は一言、触ったら凍傷になるような声で
「楽しいですか?」
とC(とその他)に言ったそうだ。
キョトンとしている彼らに向かって、彼女は矢継ぎ早に言った。
(聞いた話なので大分曖昧)
「いじめの話をネタにして楽しいですか?幸せですか?楽しいようですから幸せなんでしょうね。良かったですね、見下せる人がいて。自分の情けなさを棚に上げられますからね。しかしあいにく、私はそのような歪んだ幸せなど必要としていません。それにあなた方は何故この人を馬鹿に出来ますか。あなた方よりよっぽど真面目に勉学を修めているように見えますが。あなた方よりよっぽど人間として立派な人に見えますが。 Bさん、行きましょう。こんな世界の狭い人たちの間にいることはありません。これは場を台無しにしたお詫びと勉強代です、二度と誘わないでね(友人の名前)」
そこまで口を挟ませる隙もなく言い終えると、一万円札をベシッと机の上に叩きつけて、Bを無理やり立ち上がらせて店を出た。
その後Bは、女性に引っ張られて入った喫茶店で
「勝手なことをしてごめんなさい、でもあの場所にいる意味がないと思って。それに、実は適当な理由をつけて帰ろうと思っていた。利用したようですいません」
と平謝りされたそうだ。
Bも、むしろ謝らなければならないのはウジウジして貴女にあそこまで言わせてしまった自分である、と言い出して謝り合戦。
更にその後一万円札のことで
「自分の分まで払わせてしまったので」
と彼女にお金を返そうとするBを
女性が
「いいんですよ、いりません」
とおさえて譲りあい合戦。
最終的に、Bは女性の連絡先を聞き出し、
「今度から遊ぶときに、彼女にプレゼントを買って少しずつ返していく」
ということになったそうだ。
そして今日のAとBがある。
うらやましくなんかないんだからね
いじめっ子殺したい
生きたままチェンソーに首当てたるわ