赤ちゃんの夜泣きにほとほと疲れ近所迷惑になるから家にいるのもできず、子をおんぶして明け方近所の橋まで歩いて行った。
眠いなー重いなーでも歩いてると寝てくれるなーとぼんやり橋から景色を見ていたら 近くにスーッとタクシーが停まった。
窓が開いて運転手に手招きされるまま近寄った。
もしかして飛び込むと思われた?と言い訳を考えてたら、暖かい缶紅茶を差し出された。
「夜泣き?大変だよなぁ。うちの奥さんもよく朝方散歩してたから。でもほら、いい顔で寝てるよ。母親の背中は気持ちいいんだな。あなたも無理し過ぎないようにね。今が過ぎれば必ず終わるから」
目を細めて微笑みながら子を眺め、お礼を言うのが精一杯の私に頷いて去って行った。
おっちゃん、ありがとう。
紅茶が染みるように美味しくて、いつもより穏やかな気分で夜明けをみれてる自分がいたよ。
私もいつかだれかに同じように返せたらいいな。
渦中にいる あなたは、初めての道。おっちゃんには いつか来た道。過ぎ去ってみれば、思い出話ですよ!!
夜明けの黄金