大学に受かって上京して一人暮らしを始めたのはいいんだけど、友達が全然できず講義が終わるなり部屋に直行し2ちゃん覗いてるような負け組生活を送っていた。
仕送りも底をつきロクに食うものもなく、それでも
「東京で頑張ってね」
と手紙で親に励まされる日々が続き、情けなさと申し訳なさと寂しさとひもじさと相談相手のいなさで死にそうになっていた時、強盗に入られた。
刃物向けられて
「金出せ。刺すぞ」
と言われたが、そもそも出せるお金なんてない。
俺はどうしようもない気持ちになり、男の癖にオイオイ泣きはじめた。
戸惑う強盗。
「泣けばどうとでもなると思ってんのか!早く出せ!」
「泣いてどうにかなるならずっと泣いてるよ!ふざけんな!貧乏なのに高いお金出して東京行かせてもらってるのに、こんな生活送ってるなんてバレたら親に泣かれるよ!友達もいないお金もない、でも今更田舎になんか帰れない、どうすりゃいいんだよ!!!!1111」
大体↑みたいな内容だったと思う。目の前に包丁があるというのにこんなに喋れた。
強盗は俺の発言にびびったみたいで、
「頑張れよ…」
と言うとそのまま何も取らずに逃げていった。
今は無事(少ないけど)友達もできたけど、この話をしても一度も信じてもらったことがない。
「殺されかけてるのにそんな発言ができるはずないし、逃げる強盗も弱すぎ」
と言われる。
運が良いのか悪いのか・・・・・
別に強盗は逃げた訳じゃないだろ?ただ帰っただけだろ?おったってしゃーねーし
落語・夏泥だね…