二年前の実話です。
ヨルダンの砂漠で迷子になりました。
周りは一面砂と空。
砂に埋もれてるきれいな人骨が友達に見えて安心感すら感じた。
夜になると急激に寒くなりそいつと自然に添い寝をした。
それから3日間がたった。
まだ2月だったので昼間でも日ざしはきつかったけど、気温はさほどでもなかったのが助かった。
その日奇跡的に通りかかったトルコ人バックパッカー二人組に助けられ、数キロ離れた遊牧民のベドウィンの家につれていってくれた。
着いてすぐ子供達に歓迎されあれこれ話しかれられたがアラビア語はまったく理解できなかった。
その家の家長はアリという人だった。
アリはこの家で唯一英語が話せた。
僕が日本人だということを話すとアリは思い立ったように歌いはじめた。
「しあわせんあら、、手を叩こ。しあわせんあら、手を、、」
僕が
「何でその歌しってるの?!」
とびっくりして聞くと。
何年も前に一緒に数カ月、移動しながら暮らしていた日本人がいたことを話してくれた。
その話が出た時点でトルコ人の片方ハッサンが言った。
「さっきまでお前の隣にいたやつだよ。」
助けられたばかりで、すっかり気が弛んでいたところなだけに衝撃だった。
ああ見えてあそこは彼のお墓だったのだそうだ。
「日本人は友達思いだな。」
と言ってアリは笑った。
信じられないという思いもあったけど、その笑顔を見てその日本人は満足のいく一生を送ったように思われ、悪い気分にはならなかった。
数日後、体力を回復した僕は出会ったトルコ人の勧めでトルコへ渡り、ロシアを経由して日本へ帰国した。
骨になっていた彼の名前はアリが「たわし」と言っていたので「たかし」とか「ただし」みたいな名前だと思います。
数奇な運命を感じる話だな