数年前の夏、友達と4人で青木ヶ原樹海へ肝だめしドライブに出かけた。
恐怖心をごまかそうと、笑い話をしながら細い林道に入り込み、ついつい地図にも載っていないようなところまで来てしまった。
あちこちに自殺防止の看板や、不審なカバン、花束などがあって、笑い話も続かない。
「戻ろう」と誰ともなく言い出し、車をまわして元来た道を戻り始めた。
と、そこに対向車が。
樹海のこんなに奥深く、まさか他に車が入ってくるとは思っていなかったが、「あの車も肝試しかなぁ?」なんて言いながら、とりあえず車を脇に寄せた。
近づいてきた対向車は軽トラックで、何故か関西ナンバー。
そして運転しているのは、でっぷり肥えた見るからにヤーさん風の男性。
同乗者はいない。
なるべく関わりを持ちたくないので、4人とも目を合わせずに通り過ぎるのを待った。
その軽トラは私たちの車の真横で一瞬停止して、こっちを伺っているようだった。
話に夢中で気づかないフリをしていると、軽トラはゆっくりと進み始めたのだが、その軽トラの荷台にドラム缶が4本・・・。
私たちは無言で顔を見合わせると、猛スピードで走り出した。
もうどこをどう走ったのかわからない。
あのドラム缶の中身は・・・。
もしあの時ヤーさんと目を合わせていたら・・・。
違法投棄か?
コンクリ死体遺棄だ あの時のお前か!? 待っててや