私は小さな漁村で生まれ育ちました。
人口は5000人。
私の学年は全員で33人しかおらず、幼稚園から中学校まで12年間ずーっと33人一緒でした。
(クラスも一クラスだったし)
その中に一人障害をもってた男の子がいました。
小学生のとき隣町に住んでた従兄弟に「障害者の子は気を使うよな」と言われてよくわからなかったのを覚えています。
幼稚園から一緒なもんだから私たちはそういう感覚が全く無かったんでしょう。
その子のことを特別親切にする人もいじめる人もいませんでした。
それが普通でした。
中学校の卒業式の前の日、朝礼のときにその子のお母さんがやってきました。
「この子は、高校は養護学校に行きます。本当のことを言うと、中学校も養護学校に行かせようと思ってたんです。この学校でもあなたたちとなら、あなたたちとだから、この子は楽しそうに中学校を卒業できました。本当にありがとう。」
そういってお母さんとその子はボロボロ泣いてました。
それを見たら、なんか知らないけど目頭あつくなって、気づいたら皆泣いてました。
先生も泣いてました。
私たちの普通が、お母さんにはこんなに嬉しいことだったんだな、この村に生まれてよかったな、と心底思いました。
そして今年の1月、私たちの成人式。全員参加しました。
現像した同窓会の写真には、酔っ払った皆と肩を組んでピースをするその子の昔と変わらない笑顔がありました。
狭い世界でしか通用しない当たり前が嘆かわしい。
どんな障害だったのやら