一応実話です。
行かせて貰います。
文章力無いからあんま怖くないかも。
僕の地元では毎年小学校の夏休みに合わせて林間学校?とでも言えば良いのか、お寺で都市部の子供達を預かって触れ合うっていう行事があるんですよね。
で、それには地元の若い連中が子供の面倒を見るのにバイトで入るんですよ。
給料は良くないんですけど、同年代の女の子も一緒に泊まったりするんで毎年欠かさず僕と友人Aはそのバイトをやってたんですよね。
で、3年前かな。
今年は人手が足りないって事で友人Bと友人Cも誘ったんですよ。
で、昼間は海で遊ぶ子供の面倒を見たり、子供達の宿題を見たりと…と、まぁ例年通りの様な日々を過ごしていたんですね。
そして特に事件も無く最終日になったんですけど、最終日は子供が寝てから若い連中だけで宴会するんですよね。
お互いご苦労様って事でバーベキューとか食いながらビール飲んだり。
そうこうして夜も更けた時、初参加だった友人Bと友人Cがかなり酔っ払った様子でこう言ったんですよ。
「隣に折角墓あるんだから肝試ししないか?」
確かにその寺の横には小さめの墓地があるんですけど、別に特別怖い噂とかも聞いた事は無いし、俺もAもあんまりそういうイベントとか好きじゃないタイプで、騒ぐよりかはしんみり飲んだりしてる方が好きなタイプだったんですよね。
でもBとCはかなり無茶な事でも平気でやるタイプだったんで、俺とAが一応監視役って事でついていって、俺、A、B,C、あと女の子3人で寺の裏手にある墓地に行ったんですよ。
その墓地ってのは3段になってて、一番上に小さいお堂があるんですよね。
「じゃあ一番上のお堂に行って、それでも駄目だったら(霊に会えなかったら)○○のお化け灯台か、それか××の旧斉場まで行こうぜ」
っていうBの提案を渋々了承して、全員歩き始めたんですよ。
歩き始めて数分、最初はBとC以外「なんか薄気味悪いなぁ」とか言ってたんですけど、やはりというか予想通りというか、結局一番上のお堂についても何も出なかったんですよね。
俺とAは早く戻って酒飲みたかったから、ふくれるBとCに「さっさと帰ろうぜ」って言ったんですけど、その時Cがお堂の扉を開いて中に入っていったんですよ。
何となく嫌な予感がしたんで、
「おい!C、お前何やってんだよ!!さっさと出て来い!」
って怒鳴りつけた数秒後、にやにやと笑ってCは出てきましたよ。
無縁仏のしゃれこうべ(殆ど崩れてて歯の周りだけ)を両手に抱えて。
そのお堂ってのは、無縁仏の御骨を納めてる場所なんですよね。
一緒にいた女の子ももう滅茶苦茶引いて俺とAと、Cの一番の友人のBさえも絶句ですよ。
でもCはまだ何かやり足りなかったのか、そのしゃれこうべの歯の部分にお墓に供えてあった花を当てて
「歯磨きだオラぁ!!」
とか言いながらガシガシ物凄い勢いで擦ったんですよね。
ポロポロ骨の欠片が地面に落ちてる様子は流石に誰も笑えなくて、すぐにCからしゃれこうべを奪い取って壺に戻させたんですよ。
いっつも一緒に馬鹿やってるBがその時ばかりはCに向かって
「お前なあ洒落になる事とならん事くらい分かれや。呪われんぞ、マジで」
と言うと、Cが
「死んでる人間より生きてる人間の方がよっぽど怖いって」
などとヘラヘラ笑いながら言い、さっさと先頭に立って歩き始めました。
C以外の人間は全員呆れて物も言えない状態で、Bは一緒にいた女の子に
「あいつ普段はこうじゃないんだけど、酒が入ってるとちょっと無茶になるんだよね」
なんて一生懸命フォローしていました。
そして墓の入り口にまで戻った時、Bがかなり醒めた表情で
「どうする?まだ何処か行くのか?」
C以外の全員に尋ねました。
勿論全員の返事は決まっています。
「いや、もう帰ろうぜ。もう帰るよね?」
Aが横にいた女の子に尋ね、女の子も頷きました。
そして一番前にいるCに向かって
「おい!」
と呼び掛けました。
ふらふらとした動作でゆっくりとCが振り返ります。
そして振り返った瞬間、Cは小声で
「やべっ!」
と言いながら物凄い勢いで走り出しました。
C以外の全員が、その突然の行動に頭の上に?を浮かべながら振り返ります。
勿論後ろには誰もいません。
「あいつの事だからどうせ俺達を怖がらせようと思ってるんだろ…」
と、Aがかなりうんざりした口調でそう言い、皆納得しながら歩き始めます。
薄暗い道を建物沿いに歩き、Cが走り去っていった建物の死角に回るとBが叫び声を上げました。
「おい!Cが倒れてるぞ!!」
Bが指差している場所を見ると、確かにCっぽい影が地面に突っ伏しています。
「かなり酔っ払ってたからな。もしかしたら変な転び方でもしてるのかもしれない」
Aがそう言って走ると、全員がその後を追います。
そしてうーんうーんと低く唸っているCを見て、全員絶句しました。
Cの右足・・・それこそ足首から足の付け根までかなり複雑に有刺鉄線が絡みつき、かなり血まみれになっていました。
女の子が小さく震えた声で
「電話、借りてくる」
と言うと、寺の住職に電話を借りに離れの住宅まで走っていきます。
Aが懐中電灯を持ってきてCの足を照らすと、かなり酷い傷である事が分かりました。
Cの足に絡んだ有刺鉄線は、Cの足にただ穴を開けただけでなく、その肉を裂いていました
(後で聞くと23針だか24針縫ったらしいです)
AがCに尋ねました。
「おいお前、どうやったらこんな風に鉄線が絡むんだよ」
明らかに異常な絡み方でした。大体、平地で有刺鉄線が足に絡む訳が有りません。
Cは涙目で
「分からねえよ。ただ走っただけなんだから…畜生、いてえ…」
などと呻いています。
Aが苛々した口調で
「ただ走るだけで何で有刺鉄線が足に絡むんだよ。大体、鉄線が張ってあるのは隣の牧場沿いだけだぞ」
と言うと、Cが
「そんな事知らねえよ。大体、わざと鉄線に引っかかる奴なんていると思うのかよ…」
と、もう殆ど泣きながら言います。
Aも、確かにそれはそうだな…などと言いながら釈然としない様子で何事か考え込みました。
その時、俺は気になって気になって仕方ない事をCに尋ねてみました。
「お前、走り始める前になんか言ってたよな?やべっ、とか何とか…あれ、どうしてだ?」
俺がそう言うと、Cは心底不思議そうな顔をして俺とAとBを見ました。
何でそんな事を尋ねるのか分から
「いや…あの時住職が物凄い勢いで怒鳴って走ってきただろ?で、捕まったらバイト代金減らされると思ってな…それよりお前らこそ何で逃げなかったんだよ?怒られなかったか?墓で遊ぶなって言われてただろ?」
Cがすっかり酔いの醒めた口調でそう言うと、俺とAとBは、無言でCの顔を見ました。
Cが走り始めたあの時、全員が後ろを見ていますが、住職の姿など誰も見ていません。
そして、次の瞬間、Cが見た『誰か』が本当に何だったのか全員分からなくなります。
「おーい」
女の子が、こちらに向かって懐中電灯を振り回しながら走ってきます。
そしてCの傷を照らしながら言いました。
「C君大丈夫?今救急車が来るよ。大袈裟かと思ったけど、呼んでよかったみたいだね」
そして、
「うわあ、こりゃ酷いなぁ…君、何処でこれに引っ掛かったのかね?」
およそ初老の男性が着るに似つかわしくない水玉のパジャマを着た住職が、神妙な面持ちで言いました。
後日、Cは右足の傷の抜糸を終えた直後、今度はその帰りに車に跳ねられ、今度は左足の大腿骨をぽっきりと折る羽目になりました。
罰当たりなことはしちゃいけないなぁって話ですね。
C曰く
「生きてる人間が怖いってのもそうだけど、死んでる人間だって充分怖ええよなぁ…」
だそうで。
御終い。
反省してないよね?
死者を冒涜するのはほどほどにね
馬鹿につける薬は無いな
実話ね・・・
Cは無理して生きるなや