郊外の小さな自動車整備会社。自分はそこの外注デザ。
1年前、その会社に経営陣の友人(40代半ば)とやら入社してきた。
新入社員ならぬ侵入社員。
一応数カ月の研修をちゃんと受けて新人のツテは踏んだらしいのだがそれからいきなり副店長に就任しちゃったから大変。
現場の人達に好き放題怒鳴る、横柄な態度をとる、会議は横やりばかりいれる。
そのうえ致命的なのが仕事はまったくダメダメ。
釣りが大好きで休みを自分都合で勝手にいれてアチコチ釣りに行っている。
ただでさえ少ない社員どうしの輪は乱れまくりで内部崩壊寸前。
自分は外の人間だが、そいつのせいで予定通り進行せず間接的に迷惑していた。
「なんとかしれくれるように上司に直談判すればいいのに」
と思っていたが田舎零細企業にありがちな絶対神様的存在の上司に社員は頭があがらない。
ある日、キャンペーンの販促物制作会議に自分も参加した。
普通に仕事の話しをしている最中に、そいつは自分に向かって下唇をつきだし顎を斜め30度くらいに上げて言い放った。
奴「きみぃ、フリーなんだよねぇ?仕事ない日はなにやってんのぉ?」
俺「‥‥?まぁ‥‥最近は模型作ってますよ」
奴「ふぅ~ん、いいねぇ、時間ある人は。一つ作るのにどれくらい時間かかるの?」
俺「う~ん、まぁ魚釣り行って帰ってくるまでには3個くらい出来ますかね」
これで会議室は今までの鬱憤を晴らすように大爆笑。
それほど大声ではなかったが、声を押し殺すように腹かかえて笑っている。
奴は顔を赤らめ照れたような顔で神様上司にヘルプサインを目で送っていたがなんとその上司も笑っている。
‥‥それから奴は会議で横やりしてくる事もなくほとんど発言もせず干されっぱなしで無事に終わった。
それ以降、奴に対する会社の空気は一変。
本来仕事も出来ないので名誉挽回(?)できるどんでん返しもなく昨年暮れで退職。
子ども店長なんて、話の中だけ。ガキに権威を与えていいこたぁない!
縁故だけにエンコした
そもそも『40半ば』で『友人の会社』に入社って(笑)
碌な奴じゃない事は、冒頭部分から明白。