俺が心底怖かったのは、いささか古い話だが、俺が中学生の時、夏になると好きな心霊スペシャル番組をよく見ていた。
番組自体はよくある心霊スポットにレポーターが霊能者と行くやつ。
それをスタジオでゲストがあーだこーだ無責任なコメントをする。
番組自体は今の心霊番組とほとんど同じで、当時の俺は怖かったが、今見たら、たわいない内容だと思う。
番組はこんなありふれた内容だったのだか変なのは、心霊スポットのレポートが終わってから司会者が、
「この人たちは身元不明の人たちです。」
といくつかの写真を見せる。
身元不明の人の写真を見せるのだが、その写真に写っている人はどう見ても変だ。
変というか、生気が無い。目に光りが無く、顔が妙に膨らんでいる。顔色も青い。
司会者によると、この人たちはある海岸で水死した人たちだそうだ。
そう、水死体の写真を視聴者に見せて、誰かこころあたりが無いか聞いているのだ。
水死者の写真はよく撮れていて、一見、普通の写真に見える。だが目の色や顔の膨らみまで抑えきれない。
心霊番組を見せてから水死者の心当たり聞くのも変な話だが、普通、テレビで水死体そのものを見せるのだろうか?
当時はテレビに電話する奴もないし、新聞の投書欄にこのことで問題になったこともなかったから、当時(1970年代前半)は問題にならなかったのだろうが、俺は気分が悪くなって吐き気を覚えた。
昔は自由があって素晴らしいな