中学のとき
「せっけんのかおりを漂わせる女の子はステキと思われるはず」
と思っていた。
だが当時そんな香りのする香水も知らない。
そもそも買えない。
なので石鹸を持ち歩くことにした。
まるごと1個だとちょっとかさばるし香りがしないんじゃないか。
通り過ぎた後のふわりと香る清潔感をかもしだしたい。
まずは石鹸をけずり、ぎこちない縫い目の荒い巾着を縫って(あえてブルーの小花がらを選んだ)それにカスみたいな石鹸を入れる。
口をとじ、リボンをつけてそれをウエストのファスナーのところにくくりつける。
これでこの長い髪をそよがせて歩けばわたしは
「シャボンの香りのあの娘はだあれ?」
みたいに学校中のうわさになり、そのうちこの香りにひかれたステキな男子からの花束が靴箱に届くだろう。
脳内でファンファーレが高々と鳴った。
腰から白い粉を吹き、廊下を素早く走り抜け歌舞伎のように髪をふりまわして歩いてるなまはげに花束一つ届くはずもなかった。
なお、高校になってからは石鹸→バニラエッセンスになった。
恋に恋する乙女の努力…笑わせて頂きました
♪( ̄▽ ̄)ノ″