俺には妹がいた。
あんまり体が丈夫じゃないほうでちょくちょく入退院を繰り返していた。
そんな妹を俺はあんまりよく思っていなかった。
なんにもせずに両親にちやほやされているのが気に食わなかったのだろう。
今思うととても陳腐な理由だ…
そんなある夏休みの出来事。
家族で遊園地にいくことになった。
妹がやけに懐いてくる。
少々うざいと思っていたが「お兄ちゃん、お兄ちゃん」と、うれしそうにまとわりついてくるのを邪険にすることもできずに、相手をしてあげていると、妙なことに自分の父性心というのがくすぐられたのか、やけに妹がかわいく思えた。
そんなことがあってからというもの俺は妹をかわいがるようになった。
自転車の乗り方や逆上がりを教えたり。
しかし、それも2週間でおわってしまった。
また入院することになったのだ。
だが、俺はあんまり見舞いに行くことをしなかった。
どうせまたすぐ戻ってくるだろうとたかをくくっていたからだ。
(家から病院が遠かったのも無関係ではあるまい)
それから一ヶ月後、妹は戻ってこなかった。
俺が病院に行ったのはたったの2回だった。
暇な日曜日に親に連れられていったのと、妹が死んだときだけだった…
今でも後悔している。
俺は妹にもっと楽しかった「あの日」を作ってやることができたんじゃないだろうか?
家族で遊園地に行った「あの日」は確かに楽しかったけれど、自分がもっと妹によくしていれば、妹はもっと楽しい日々を過ごせたかもしれないのに…
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