一昨年くらい都内の某古着屋で皮のコートを買った。
何か気に入って、その冬結構着て歩いた。
ある週末、友人と会う約束をして六本木へ。
当然そのコートを着て出掛けた。
外人もよく来るクラブで夜を過ごし、遅い時間に部屋に戻った。
かなり酔って帰ったので、コートを着たままベッドに。
そして眠ってしまったのだが、恐ろしい夢を見た。
暗く人気の無い路地裏で、白人女性をメッタ刺しにする夢だ。
べっとりと汗をかいて目が覚めると、すでに正午近くだった。
手に感触が残っているような気がして、思わず手のひらを眺めた。
その時だった。
強烈な体臭が鼻を突いた。
腋臭とか汗とか、そんな臭い。
信じられないことに、着たままのコートから臭いたっている。
思わず脱いで確かめようとしたら、裏地に古くなった血のようなシミが。
買った時には臭いも汚れもなかったはずなのに。
多分そういうことだ。
前の持ち主に執り憑かれる前に、そのコートは処分した。
コメントを残す