いきなりですが、みなさんは母親の作ってくれた弁当に思い出はありますか?
なかには、「へたくそでまずいんだよなー」なんて言われる方もいるのではないかと。
面白くないかもしれませんが、わたしの話を聞いてください。
もう一昔前になりますが、予備校時代に模試というものが月1のペースくらいであったんです。
で、日曜にもかかわらず、母親は朝早く起きて、わたしのためにご飯を炊きおかずをつくり、弁当をこさえてくれてたんです。
当時の自分は本当に恵まれていたんでしょう。
でもその頃はまったくそんな苦労など考える由も在りませんでした。
ある日。
いつものように模試と言い弁当を作ってもらい街へ出ました。
本当は模試なんてホラで、ただゲーセンに遊びに行きたかったんです。
しかも、昼食代があればどうせクレジットになってしまうと考え、作ってもらって。
街のゲーセンへ朝から行き、思いきり羽根を伸ばし、思い思いのゲームを楽しみ、日が落ちていきました。
そのとき、ダミーの参考書をいれたかばんに弁当が入っているのを思い出して、ゲーセンの傍ら(自販機のあるベンチみたいなところ)でそれを開けたのです。
弁当を開けて愕然としました。
細切りの海苔で、ご飯の上に「ガンバレ」って。
いつも弁当を作るときには面倒そうな表情だった母親が、本当はこう思っててくれたのかと思うと、その海苔をご飯に乗せた時のことを思うと。
そして、自分がその日したことを考えると…。
辛くてなかなか口に入れたご飯が喉を通りませんでした。そして塩辛く感じた。
ごめんなさい、お母さん。これからちゃんとやるから。
そして、その日からわたしはしばらくゲーセンから遠ざかることにしたんです。
志望校は旨く合格して、家族みんな喜んでくれました。
でもその時もやっぱり心の中ですまないキモチがずっとあって。
今もそうです。
でも親元離れて早6~7年。
正月には帰るけどなかなか手作りの弁当は食べられない。
母親の味、おふくろの味。何にも代えがたい味です。
今も実家で元気そうだけど、今自分も東京でしっかりやってるから安心してね。
週末たまにゲーセン行くけど、許してね。
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