俺が高校生の頃、ある工業団地のそばにあるゲーセンに通ってました。
そのゲーセンは結構外国人労働者の方々も来ていて多国籍ゲェセンって風合いを醸し出してたんです。
ある日、学校をサボって平日昼間からエレベーターアクションリターンズに没頭していたところ、一組の外人さん親子が俺のプレイを見てました。
ゲーム中、横一列爆発のナパームを炸裂させると父親の方が「オゥ」とか後ろで小さくつぶやいたりしてるんです。
んで、ヘタレな俺は案の定3面でゲームオーバーになってしまったんですけどその父親さんが拍手してくれたんですよ。
何処の言葉かは解らなかったけど笑顔で誉めてくれたんです。
しばらくして、そろそろ学校に戻ろうと思ったときにプライズ機の方で男の子の泣き声がしたんです。
さっきの親子連れがプライズ機の前にいたのですが、どうやら御目当ての景品が取れなかったみたいで。
思わず言葉も通じないのに声をかけてしまいました。「どうしました?」って。
そしたら「アレ、取レナカッタ。※※※※、モウ、オ金、ナイでス」って、向こうの言葉混じりの身振り手振りとカタコトの日本語で話してくれたんです。
多分、出稼ぎに来てる人だったのだろうし(近くの工場のツナギを来てた)あまりプライズ機にお金をつぎ込むことは出来ないんだろうな…と思ってその人形(多分クマか犬のぬいぐるみだったと思う)を取ってあげました。
ただ、俺もあまりキャッチャー系は得意じゃなかったので結局300円も使ってしまいましたが。
そのぬいぐるみを男の子にあげると大喜び。
父親さんからは、「アリガト!アリガト!」と握手してもらいました。
その日は昼飯がかなり寂しいモノになってしまいましたけど、男の子の満面の笑みと父親さんの握手は何物にも代え難い想い出になったのを今でも覚えています。
その後、その親子とは何度か会いましたがいつも「アリガト!」と挨拶されるので友達からは変な顔されました(笑
今はもうこっちには居ないだろうけど、あのぬいぐるみが遠い異国の空の下にあるのかと思うと少し嬉しくなります。
言葉が通じなくても心が伝わってくれたことも。
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