数年前に親父を亡くした。
自分が成長するとともに、親父とはそりが合わず、比較的近くに住んでいながら、年に1~2度くらいしか顔を合わさなかったのだが、倒れたとの知らせを受け、病院に向かったらすでに意識不明で、そのまま旅立ってしまった。
葬儀が終わってから半年くらいの間に何度も親父の夢をみた。
自分が中学・高校くらいだろうか。
何か心に引っかかり、葬儀の後もらった遺品の箱を覗いたら、30年以上使っていた腕時計が
あった。
古い自動巻き?の国産品でそれほど高い物ではなかったが、会社の功労賞でもらったとか。
手にとって振ると、ジーッという音がして動き始めた。
その日以来、形見の時計を日常使っている。
母に聞くと「何度か分解掃除や修理をして大事に使ってた。何年か前に修理したとき、もう部品がないので、今度故障したらもう直せませんと言われた」とのこと。
40も半ばに差し掛かり、すこし恥ずかしいが、親父の人生の後半生、あまり会話できなかった分、時計に語りかけて埋め合わせしているような感覚だ。
この腕時計もおそらくもう、何年も持つまい。
こいつの最後を見届けることが親父への供養だと思っている。
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