自分には心の中にずっと好きな彼女がいる…、
高校在学中に内定を決め卒業と同時に地元から離れ一人暮らしを始めた俺はがむしゃらに働き約2年、大卒を抜き異例の速さで主任に任命された、
今迄とは荷の重さが全く違い様々な場面でストレスを抱え込み、プライベートではギャンブルにのめり込み生活は安定しなかった、
そんなある日、友人から久しぶりの連絡、懐かしい話や将来についてや仕事の愚痴、色々な話で盛り上がりまた良く連絡を取り合うようになった、
お互い距離はあったが共通の音楽とダンスの趣味があり月に1、2回は必ずと言っても良い程2人で都内のクラブで待ち合わせた、
友人から沢山の友達を紹介してもらいクラブに遊びに行く回数も徐々に増え、結果仕事にも影響が出てしまい遂に仕事を辞め、一人暮らしをしていた土地から離れアパートを解約し、友人の悪友の所でキャバクラのボーイとして寮に住み込みで働きだした、
キャバクラ等で遊びをした事の無かった自分にとって夜の世界は昼とは違い全てが新鮮でグレーな人達と一緒に行動する日々はクラブ遊びやギャンブルを続けるにはとても都合の良い話が沢山あり何度もただで出入りし酒も浴びる程飲んだ、
若さも有りしばらく彼女のいなかった自分は風紀とは知りながら店の子と付き合い仕舞いにはクラブで薬物にまで手を染めてしまい益々人生を転落させていった、
同棲生活も半年が過ぎ結婚願望の強い彼女の優しさにのめり込み好きな音楽のジャンルは異なったが彼女をクラブに連れて行くようになり最悪な事に薬の味を教えてしまった…、
親と3年以上も親と音信不通にあった俺は堕落した日々から抜け出したいという気持ちが時間が経つにつれ強くなり彼女に相談したが親の側に戻るという事、それは距離的な問題から別れを告げるという事であった、
しかし悪友に世話になってしまっていた分当時の生活を辞めるという事は一種の裏切りにもなり更に上の人間から許しを得られるはずも無かった、
ある日、気持ちが一気に吹っ切れて財布だけを手に彼女に別れも告げづ追っ手が来ないか何度も後ろを振り向きながら電車に飛び乗った、
いざ親と連絡を取るとなると急に過去を振り返り戸惑い出し、気付くと元一人暮らしをしていた土地の駅に降り、置き去りにした彼女に電話をかけていた、
事情を話すと彼女は泣き出し、お互いでしっかり支え合いながらの再出発を望んでいたと改めて告白されたがその時の自分は様々な不安から正気になれず別れを告げ電話を切った、
1週間程公園で寝泊まりし少なかった手持ちも底を尽き寂しさのあまり2度とかけまいと思っていた彼女に電話をしてしまった、
「今何処?」
「昔一人暮らしをしていた所の近くだよ」
「寂しくて電話しちゃったよ、ごめんね」
ろくに話もせずに電話を切るとまた公園のベンチで眠りについた、
ふと目が覚めると辺りも暗くポケットの携帯が鳴っていた、彼女からだった、
「元一人暮らししてた所って○○だよね?今車で着いたから詳しく居場所教えて、」
心配してくれた彼女が過去の俺の話を頼りに車で3時間以上かけ会いに来てくれたのだ、
待ち合わせをすると彼女は俺を車に乗せ近くのファミレスに入り、
「お腹空いてるでしょ?何でも好きな物食べなよ」
彼女は手持ちが無い事を察して俺に告げたが、
「別に大丈夫だよ、金ならまだ有るし、そんなに腹減って無いし」
彼女に対しての過去を振り返り申し訳なさから精一杯の嘘を付いたが彼女は店員を呼びテーブルいっぱいの食べきれない程のメニューをオーダーした、
本当に情けなくなってしまい無言でとにかく食べた、
食事が終わると彼女は俺に封筒を渡し帰って行った、
“お互い真面目になろう、たかゆき(仮)は親とちゃんと連絡取って仕事探してまた偉くなって!うちも夜を辞めて真面目に昼の仕事探して頑張るから!沢山の思い出ありがとう、でも振り返って辛くならないように連絡も取るの辞めよ、本当にありがとうね”
手紙と一緒に封筒には1万円が入っていた、
全ての過ちを精算出来る訳も無いが自分なりに考え、彼女の手紙を捨て、携帯を川に投げ、公衆電話から家族に連絡をした、
半分以上の話を伏せ、親に事情を説明すると電話の向こうでお袋は泣き出した、
何年かぶりに家族と顔を合わせ気持ちも入れ替え職を探し一人暮らしも再開、あっという間に2年が過ぎ、そんなある日の仕事からの帰り道に車のテレビを聴いていると、某質屋の特集が放映されていた、
現代の質屋事情、どの様な客がどの様な物を売りに来るのか、何の気無しに外の景色を眺めながら耳で聞いていると3人目の客の聞き覚えのある声にボリュームをあげた、顔にモザイク処理がされているが声は間違いなく彼女だと笑い方から確信した、
俺は日々のあの時の有難うをどうしても伝えたい気持ちが一瞬で膨らみ、抑えきれずそれから数日をかけ、当時流行っていたサークル交流サイト、ブログから彼女を見付け出し自分の番号をメールで送信すると彼女から着信があった、
「久しぶり、たかゆき(仮)元気?真面目に頑張ってる?」
彼女にテレビでの事を説明するとやはり彼女であった、彼女は東京の新宿に一人暮らしをしていてスカウトをされ一般人役としてある番組の企画に出演していたのだった、
1時間以上昔話などで盛り上がり気持ちは完全に今のきちんとした生活環境の中彼女と復縁したい気持ちが出てしまい彼女に最後に質問した、
「彼氏は?」
その問いに対する答とそれからの話は自分のそれから先の現在まで自分を苦しめている、
「いるよ、あれから直ぐに夜は辞めたけどしばらくして友達とクラブに行き始めて、また薬をやり始めちゃって買ってた売人と付き合ってる、で今は新宿でまた夜やりながら売人の彼氏と同棲してる」
目の前が真っ暗になった、忘れたかったけど忘れられなかったあの彼女はそこにはいない、別の人格の女性になっていた、
それから日々情緒の不安定になっていく彼女と何度か連絡を取り新宿を離れる事を奨めたが虜になってしまった彼女は聞く耳を持ってくれず自分の気持ちが限界に達してしまい遂に最後の別れを告げ俺は携帯の番号を変えてしまった…、
あれから数年経つが今でも遊んでいた過去の後悔と彼女に対する申し訳無い気持ちで胸が一杯で彼女をつくれないでいる…、
『今年30歳(年齢29歳・♂)』さんからの投稿です。
ありがとうございます。
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