あれは私がまだ二十歳の頃。
当時私は片田舎の自宅から原付バイクで、10キロほど離れたニュータウンまで通勤していました。
その日、夜9時までの勤務を終え車通りの少ない田んぼに囲まれた道を走っていました。
大きな国道を横切る交差点にさしかかり、信号は赤。
国道はたくさんの車が走っているけど、こちらで信号待ちをしているのは私だけ。
誰もいない‥暗い‥長い赤信号‥
そこに一台の大型バイクが走ってきて私の真後ろにとまる。
黒ずくめの姿‥二人きり‥かわらない赤信号‥
そして‥!
後ろのライダーが!バイクをおりてこちらに歩いて来る!
『あー!どうしようどうしよう!金目のものは持ってないし、もしかしたら犯される‥?腕とかつかまれてもアクセルをフルスロットルしたら逃げ切れるか!?』
と心の中で叫んでいた。
もうすぐ後ろに近づいてきて
『もうダメだー!』
とその瞬間、私の横を通り越し、押しボタンをプチッ。
また歩いてもどり、バイクに跨がるライダー。
『え‥?』よく見ると、
“二輪車・歩行者用押しボタン”と‥
その後すぐに信号は変わり、ヘルメットの中で真っ赤な顔で汗をかく私を追い越してライダーはカッコ良く去って行きました。
そりゃ信号変わらんはずだわ‥。
『しょぼライダー(年齢33歳・♀)』さんからの投稿です。
ありがとうございます。
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