去年の今頃に突然自宅で倒れた。
担ぎ込まれた先の病院で聞かされたのは急性骨髄性白血病という診断だった。
即座に入院することになったが、実家の両親や兄弟とは折り合いが悪く結局連絡をせず数ヶ月病院のベッドで過ごしていたところ、ある日どこから聞きつけたのかとうとうお袋が見舞いに来てしまった。
「なにしにきたんだよ」
口をついて出てきたのは悪態だった。正直会いたくなかった。
実家をでてから既に5年くらい。
その間一度も会っていなかったし、もう会う気も無かった。
だけど、俺のそんな物言いを聞いたお袋は、俺の手をとるとただ大声で泣き始めた。
わめくように何か言っていたが、それはほとんど聞き取れなかった。
なのに、何故かお袋が何を言いたいのかよく解るような気がした。
そして、俺も泣いた。
ガキの頃もほとんどお袋の前で泣いた記憶が無かった分、思いっきり泣いた。
色々な話をして何度も何度もお互いに謝って…。
あれから半年ちょっと。
俺は大分回復して今では自宅に戻っているが、お袋も一緒にこちらに住むことになった。
再発がありえるのでまだ安心はできないが、何故か幸せな満足感が今ある。
負けられない。
寝床に横たわったままお袋の背中をみると、そう思う。
絶対に。
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