引っ越しが近づいた夏。手を繋ぐことすら出来なかったオレの臆病さのせいで、うやむやのまま別れた彼女から「会いたい」との電話。
彼女には既に新しい恋人が居るのは解っていたのに、くだらない期待を抱いて、オレは彼女と会い、友達に教えてもらった夜景のの綺麗な雑居ビルの屋上に忍び込んだ。
言いたいことは色々あるのに、相変わらず臆病なオレは、その後に及んで適当な冗談で誤魔化してた。
そのときちょうど遠くの空に花火が上がった。
それを見ていたら、不思議な位、素直な気持ちになってきて、思っていることがドンドン言葉になって溢れてきた。
どんなに君が好きだったか
どんなに君を抱きしめたかったか
どんなに君が去って辛かったか
どんなに今でも君を好きか
そして、どんなに君を思っても、今ではもう遅いのか
帰り際、すっかり気持ちが楽になったはずみで、オレは友達と練った作戦までバラしてしまう。
「あいつがさぁ、ココに呼べば絶対キス出来るなんて言うんだよねぇ」
それを聞いた彼女がささやいた言葉を、オレは聞こえない振りをして出口に向かう。
彼女が付いてこないので振り返ると、立ち止まったままオレを見て、またささやいた。
「キスしても…いいよ」
ずっと臆病で、それまで彼女の手も握れなかったオレは、彼女に歩み寄り、抱きしめ、そしてキスをした。
これでもう、完全にお別れだと解っていたけど、不思議と寂しさはなく、とても満たされた優しい気持ちになっていた。
それから程なく引っ越して、彼女とは全く会っていないけど、多分、既にオレの知らない誰かと結婚して幸せな生活を送っていることだろう。
その事を思うとちょっと胸が痛むけど、彼女にもらったモノは、いつまでもオレの心の中に残っていくだろう…
って!こんなとこででこんなに語るオレって超マジ厨房だな!ギャハハ
みんな思う存分ワラってくれ!!
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