俺の父ちゃんは昔母さんを亡くし、俺と妹を一人だけでずっと育ててくれた。
父ちゃんは普段会社ではとっても真面目で無口なエリート社員らしいが、家ではいつも明るくしてくれて…母親の愛情を知らない俺たちにたっぷりと愛情を注いでくれた。
父ちゃんはビールが大好きで、酔うともっと明るくなって面白くなって…悪いところがひとつもないそんな父ちゃんが大好きだった。
そんな毎日が続くある日、父ちゃんが倒れた。俺はびっくりして妹と一緒に父さんを急いで病院に連れて行った。病院について診察室に行くと、とりあえず検査入院しましょうと医者に言われて俺たちは病院をあとにした。検査入院は一週間で、毎日毎日俺たちはお見舞いに行った。行くたびに父ちゃんは俺たちを笑顔で迎えてくれた。
こんなこともあった。俺たちがいつもどおりお見舞いに行くと、
『お前らほんまに優しいなぁ。父ちゃんほんま幸せもんやわ』と言って父ちゃんは涙を流した。初めて見る父ちゃんの涙…。本当にいい父ちゃんだな…。
一週間がたち検査結果が出た。医者があせってる。なんか妙な胸騒ぎがした。
医者は話し出した。
『落ち着いて聞いてくださいね…あなたたちのお父さんは肺がんです。いろんなところに移転してしまっていて…もう治ることは無いと思いますし…多分もって3、4ヶ月くらいだと思います…。』
の言葉を聞いたとき びっくりして動けなかったのは 今でも覚えている…。
その後家に帰って妹と一緒に泣き明かした。泣いて泣いて泣いて泣いて……。
父ちゃんともうすぐお別れと考えるだけで気が狂いそうだった。
そして次の朝、いつものとおり父ちゃんの病室へ行き父ちゃんの病気のことを告げた。すると父ちゃんは、一瞬びっくりした顔になったが、すぐに笑顔になりこう言った。
『その病気はお前らにはうつったりはせんのやな??それはよかったよ。昨日ベッドでな、私はどうなってもいいですから、息子や娘にまでうつったりするような病気だけはやめてください。私が治って子供が苦しむような病気だけは絶対にやめてくださいってずっと祈ってたんやよ。いやぁ神さまっているんやなぁ。』
そう聞き、俺は部屋を飛び出し、トイレでずっと泣いていた。ずっとずっと…。
自分がこんな病気に侵されていても、それでもまだ子供を心配してる俺たちへの愛情に…。どんだけいい父ちゃんなんだよ…。父ちゃん…離れたくないわ…。
余命宣告されてから2ヶ月後、まだ元気な父ちゃんに俺と妹から携帯電話をプレゼントした。父ちゃんは、『これでお前らともどこ行っても話せるようになるんやなぁ』と言って喜んでくれていた。
父ちゃんはメールのやり方など、必死に覚えてくれて、毎日俺たちに電話してくれてた。
そして余命宣告から3ヶ月と少したったある日…医者から電話が入った。
『お父さんの容態が急変しました。いますぐ病院に来てください!』
俺は妹を連れて急いで病院に向かった。父ちゃん死ぬな!!そう叫びながら病院に向かった。病院につき病室の扉をおもいっきり開けると……父ちゃんの顔には白い布がかぶされてあった……………。
その場で泣いた。本気で泣いた。倒れこんで泣きじゃくった…。父ちゃん父ちゃん……何で死ぬんだよ…。
家に帰ると俺のケータイが光っていた。
【未読メッセージ一件:父ちゃん】
父ちゃんからのメール??あれっ……さっき死んじゃったはずやろ…・??
受信した時間を見てみると、驚くことに父ちゃんが死ぬたった14分前だった…。
そのメールにはこう書かれていた。
『大輔、友美へ
お前らを残して逝っちまうなんてほんま最低な父ちゃんだよな。ごめんな。許してくれ。大輔、友美。父ちゃん、お前らの父ちゃんでいれてほんまよかった。もう死んでも悔いはなんもないわ。ほんまにありがとうな。幸せになるんやぞ。』
父ちゃん…死ぬ直前まで俺らのこと考えてくれてたんだ……。
そして俺は返信をした。
『父ちゃんマジでありがとう。ありがとう。ありがとう。ありがとう。ありがとう。ありがとう。ありがとう。ありがとう。ありがとう。ありがとう。あんたは最高の父ちゃんだよ。これだけは胸張って言えます。本当にありがとうね。天国行っても俺ら見守っててください』
俺は、二度と返信の返ってこないメールをもう一度読み返し、心からのありがとうを込めながら、送信ボタン押した。
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