バイトで帰りが遅くなったときのこと。かなり遅い時間になってしまったので通りには人も車もほとんどいなかった。
交差点で信号待ちをしていると、遠くから人の声が聞こえてきた。振り向くと自転車に乗った男の人が独りでしゃべりながらこちらに近づいてくる。
その近辺ではたまに痴漢や変質者っぽい人が出没していた。周りには他に誰もおらず、車さえ見当たらない状況だったのでかなり怖かった。
その人は私にあと10mくらいという所で突然「ふんふ~ん、ポウッ!!」と雄たけびをあげた。
恐怖がピークに達した私は足がすくんでしまいボーゼンとその人をみつめていると、その人はハッとした表情になり、私と目が合うと恥ずかしそうにうつむきながら猛スピードで自転車をこぎはじめ、その場から消え去った。
どうやら誰も人がいないと思い込み、気持ちよく熱唱してしまったらしい。
まだ高校生くらいの若い男の子だった。ウォークマン聞いてたみたいだったけど、何聞いてたんだろう?
あの時の恥ずかしそうな顔は忘れられない
–END–
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