じいさんとばあさん夫婦に追い込みかけた時だった。
ボロっちいアパートに住んでいてさ、俺と兄さんが行ったんだけどさ孫ぐらいの俺らに土下座して泣いてるんだよ。
「すんません。すんません。」って。何も食ってなくてフラフラしててさ。所持金30円だった。
さすがに黙ってられなくて、兄さんに殺されてもいいから俺は助けたくなった。
こいつら見捨てたら、俺本当に無情になってしまう!って思った。
俺も向いてないんだろうけど、その兄さん<子供の話の時もいた。もこの仕事に向いてなくてさ。
顔が怖いのと、両親がこの世にいないから流れてこっち来た人なんだよ。
「どうするよ。」って、追い込みとかもうどうでも良くなってきてじいさんとばあさんに飯食わせながら、兄さんと逃がす話してたんだよ。
じいさんは、見るからに人の良さそうな、騙されやすそうな感じでまあ、案の定騙されたんだけどな。
ばあさんと2人で、八百屋のクズ野菜を貰ってしのいでた生活だったらしい。
働くことも出来ず、年金もわずかだから本当に老いて地獄にいる状態だった。
俺よりも兄さんが同情してて、段取りは全部兄さんがやった。
その為の金も、その後どうするかも全部。方法は一つ、「夜逃げ」だけ。
兄さんは、2人だけ連れて一緒に消えた。
俺は知らない事になってるから、数日間だけバレないように気を張ってた。
事務所も、じいさんとばあさんだから追跡しなかった。
1ヶ月ぐらいして、俺が足抜けしたのをどっかで聞いたらしく、兄さんから連絡がきた。
じいさん夫婦は一緒にいた。一緒に暮らしていた。
俺は、本気で誰かを救った兄さんをすごいって思ったけど、兄さんはじいさんらに救われたっていってた。
「ばあさんの料理はうめーぞ」っていってた。
実際にこうやって逃がす事もある。でも、バレたら・・・最悪は海の可能性だってある。
美談でもない。自己満足で書いたのでもない。
若い奴でヘラヘラしやがって、裁判所に逃げたらどうにかなるって思う奴ら、そういう奴らからは、遠慮なく頂く。
実際に自殺された事もあった。でも、死ぬのはいつも騙された奴らばかり。
確信犯で借りる奴らは、上手く立ち回って逃げる。悔しいな。
どうにも出来ないからそう思うのかもな。
読むの疲れてないか?なんか、長くなってすまないね。
金融屋だった俺…足抜けした時
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