現役高校生放送部員な私。
しかも部員が私の他に数人しかいなく、大会前は皆大忙しで殺気立ってる。
私が担当しているのはテレビドラマ、ラジオドラマ、朗読。
そして大会を控えた今シーズン、始発で登校終電で下校、家では脚本を書き小道具を作り、
うたたねしてすぐ学校…の繰り返しの毎日。
自暴自棄になって、このまま過労死しちゃえばいいのに、と本気で思った夜のこと。
私の部屋のドアがゆっくり開いた。
あれ、皆もう寝てるはずなのにと振り替えるとそこには単身赴任中で最近顔を合わせてすらいない父が。
「あれ、お父さん帰ってたの」
「相変わらず汚い部屋だなぁ」
「仕方ないじゃん、最近忙しいんだよ」
いつものやりとり。その後父は私の頭をクシャリと撫で、
「ちゃんと片付けろよ、大会終わってからでいいから。頑張れるだけ頑張ってこい」
幼い頃に感じた大きな手の温もりが優しかった。
そのまま私は眠ってしまったようで、気がつけば早朝だった。
家を出る前に母に聞いてみた。「お父さんいつから帰ってたの?」しかし母はくびをかしげる。
帰ってきてなどいないと。結局私が寝呆けたのであろうという結論になったのだが、あの手の感触はリアルだった。
明日は大会。頑張ってきます。
こんど父が帰ってきたら、この話をしてみようと思います。
お父さん、いつも冷たい態度ばっかとってる娘だけど、
ホントは世界で一番お父さんが大好きだよ。
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